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その後2
「お前を吸収すれば完全体になれるのだ」
更に数日後。
部室。

つくし
「う〜ん……負けたな」

つくし
「私の負けだよ坂野巻君」
俊介
「あ、ありがとうございました!」

宇沙子
「良い対局だったわね! 私も早く二人に追いつけるよう頑張らなくちゃね」
俊介
「ああ、待ってるよ。宇沙子」

宇沙子
「うひひww」
宇沙子
(なんか嬉しいわ)
つくし
「しかし、驚いたな……。
私だって成長しているはずなんだが……」

つくし
「なにか特別な特訓でもしたのかね?」
俊介
「特別な特訓……?」

俊介
(特別な特訓と言っても七六八の尿を飲んだくらいしか……)

俊介
(って 何 故 そ れ が 出 て き た ! ?)
ゴスン!!
頭を盤上ぶつける俊介。
宇沙子
「俊介ー!?」

ぷしゅぅ……

俊介
「済まない。ちょっとした邪念が横切っただけだ……」
宇沙子
「やめてよ、ホラーは苦手よ!」

俊介
「特訓といえば、今まで七六八に数回対局指導をしてもらったからだろう」
つくし
「なるほど、それは納得のいく答えだ。私も指導願いたいな」

つくし
「だが、坂野巻君〜? 私に勝ったと言っても『3子局で今日の1回だけ』だ!
私の2子局の壁は相当厚いぞ〜?」
俊介
「あ、ああ……。心しておきます先輩……」

ガラララ……
麗と七六八が入室。


「おっはよう! 俊ちゃーん! その他多数!」
宇沙子
「略すな」

俊介
「麗、おはよう。なんだ七六八と一緒に来てたのか」
七六八
「…………コクリ」


「俊ちゃん挨拶あいさつーw」
俊介
「ああ、ハグな」

ぎゅー

「うへへへwww」


「OK! つくし先輩も〜w」
つくし
「はっはっは〜! きたまえ麗君」

つくし
「よーしヨシヨシヨシヨシ!」

「むつなんとかさんか!」

俊介
「七六八もホラ?」
七六八
「え?」

七六八
「えっと…………////」
俊介
(まさかあの写真まだ引きずってる!?)


「うさちゃんはいっか?」
宇沙子
「なんでよ!? 別に興味ないけど、ちょっと傷つくわよ!」

俊介
「どうした? いつもな感じで軽くでいいんだが……」
七六八
「は、はい……」

ポンポン
軽く肩を叩く程度のハグから。
俊介
「よし、おはよう七六八!」

俊介
(しかし、七六八……。
お前と関わってからか、急激に囲碁が強くなった……)

俊介
(それは指導を受けたからか、はてまた七六八を吸収してからなのか……)
ぎゅっ……。
七六八
「んっ……俊介さん?」

俊介
(吸収……。可能性はなくはない。
このまま七六八の碁力を吸収していけば、いずれつくし先輩や麗にも
勝てるほどの実力がつく可能性があるかもしれない)

さわさわ……
七六八
「あの……ちょっ俊介さん!?」
俊介
(うむ……この素晴らしい体つき。麗に負けず劣らない!
いや、体型自体は標準以下なのか? 碁力がそれらを完全に脳内補正しているか……)

七六八
「あっ……あぅ……あの……!」
宇沙子
「ってなにやってんのあんたらー!?Σ( ̄□ ̄;)」

「あっ」
一応軽いハグをしている麗と宇沙子。

七六八
「ひえー」
俊介
「ああ、済まない……。ちょっと長い挨拶になってしまった……」
宇沙子
「無意識!? めっちゃまさぐってたわよ!?」

サッ
宇沙子に隠れる七六八。
宇沙子
「あっ」

七六八
「うぅ……」ジト目ー……。

俊介
「あれ!? 警戒された!?」
宇沙子
「そりゃ、警戒もされるわよ」

俊介
「さては麗……。
ここに来るまでの間に七六八に変な助言をしたな!?」

「いえ、多分それではないと思います」

…………。

準備室のベット。
七六八・俊介・麗の順で
三人でベットに座る。
それを立って眺める宇沙子。


「なんでうさちゃんもこっちに?」
宇沙子
「主人公だからよ」


「いやいや、主人公は私!」
俊介
「いや、俺が主人公だ」
七六八
「はいはい!」

七六八
「では七六八が主人公に……」
麗・俊介
「どうぞどうぞ!」
宇沙子
「ダチョウかっ!」

宇沙子
「私がツッコミしてやんないと、あんた達が俊介に突っ込まれるかも知れないじゃない」
俊介
「そこまでやるつもりはないが……」

「ええー!」

俊介
「まぁさっきの話に戻るが……そうか。七六八には悪かった。
てっきり、いつも通りだと思っていたら、俺はそんな事を……」


「あのレベルで挨拶してたのは私とですー!」プンスカ
七六八
「え?」
宇沙子
「え?」

俊介
「ちょっと考え事していてたんだ。
囲碁を強くなるためにはどうすればいいかって……」
七六八
「はい……」

ズイッ
俊介
「それでもしかすると、七六八を吸収……いや触れ合う事で
碁力向上が出来たのではという可能性が生まれてきてだな……」
七六八
「な……なんですかその理論!? か、顔が近いです!」

「吸収?」

俊介
「ジー……」
七六八
「ん?」

ぎゅっ!
七六八
「んんっ!?/////」

ちゅ〜〜〜〜っ!!
キス。

「ええーーー!?」

宇沙子
「何ちゅーしちゃってんのよーーー!!Σ( ̄□ ̄;)」

七六八
「ぱっ……ちょっ!? ちょっとやめてください俊介さん!!
みんなが、麗さんだって見てるんですから!」

宇沙子
「そうよ! 離れなさい! 代わりなさい!」

「誰と?」

俊介
「うーむ……良い感じだろうか? 碁力が上がった感じはしないな……」手ニギニギ
宇沙子
「なんて事してんのよ、あんたは!!」

俊介
「あ、気にするな。2回目だしそんな恥ずかしいことでもない」
宇沙子
「に、2回目? 2回目!?」

宇沙子
「その情報自体危なっかしい情報よ!!」
七六八
「え!? いしゃその……」カァァァアア!

俊介
「これではない、か……」

俊介
「結果的に上がったの俺の下半身だk(ry……っんご!」チョップ!
宇沙子
「やかましい!!」


「俊ちゃん殴っちゃだめー!」
宇沙子
「なんでよ!? 必要なツッコでしょ!?」

七六八
「か、帰ります! すみません帰ります!」
俊介
「え?」

俊介
「ま、待ってくれ! まだ試したい事がいくつかあって……!」
七六八
「試す!?」

俊介
「いや、試すっていうのは悪い意味じゃない!
俺はちゃんと七六八の事は好きだから、それで……!」
七六八
「っ!?」

七六八
「す……っ!」

ダッ
準備室を飛び出す七六八。

「なるちゃん!?」
宇沙子
「七六八!?」

俊介
「……追う!」
宇沙子
「追う!? 多分追わなくていいタイミングよ!?」

俊介
「それでも、追う!!」
ダン!
準備室を飛び出す俊介。

宇沙子
「ああもう……行くわよ! 麗!」

「私も?」

廊下。
タッタッタッタッタ……!

俊介
「七六八……! 待ってくれ! 話を聞いてくれ……!!」

つるっすてーん!
七六八転ぶ。
俊介
「ああっ!」

俊介
「だ、大丈夫か七六八! 怪我はないか……?」
七六八
「うぐぅっ…………」

七六八
「ぱ……パンツ見えました?」
俊介
「え?」
俊介
(今更?)

俊介
「まぁそこは後ろにいたし仕方がないと思う」
七六八
「……」

俊介
「それより怪我は大丈夫k(ry」パシッ

七六八
「そ、そこは! レディーに対して、見てないって言っておくところです!!」

俊介
「……レディー?」

俊介
「そ……そうだな。悪かった……気使いがなってなかった……」
すくっ
立ち上がる七六八。

俊介
「七六八?」
七六八
「……追ってこないでください」

俊介
「……え?」

七六八
「俊介さんとはもう普通のお友達なんですから追ってこないでください!!」

俊介
「なぁーーっ!?」ガーン!!

ガクッ!
俊介orz

タタタタター!
走り去る七六八。

宇沙子
「あらあら……やっちゃったわね」
追いつく宇沙子。

俊介
「か……完全に嫌われた……」
宇沙子
「むしろ、嫌われただけで良かったじゃない。
あんたがもしイケメンじゃなかったら今頃通報受けてるところよ」

宇沙子
「いえ、女子高生の横を通っただけで通報受けてたところよ……」
俊介
「それは世知辛いな……」


「俊ちゃん、大丈夫?」
俊介
「う!? 麗……!!」

俊介
「お、俺はヒドいよな……。麗も流石に激怒だろう……。
こんなダメな弟子……師匠なら怒って当然だ」


「大丈夫だよ。私、怒ってないよ」
俊介
「え?」


「俊ちゃんがどんなにダメになっても、私はずっと俊ちゃんを見捨てないよ」
俊介
「う、麗……」

俊介
「俺は……、こんな優しい師匠がそばにいてくれたというのに……なんてバカな事を……
す、すまなかった! 本当に済まなかった!!」
ぎゅっ


「うへへへwww いいんだよ。俊ちゃんは最後は私のところに戻ってくるって信じてるもん」
宇沙子
(なんという幸せそうな笑み……っていうかなにこれ?)


「だってね! 俊ちゃんは最後に私を取り込んで、やっと囲碁の最強戦士の完全体になれるんだもん!」
俊介
「なに……!? それは本当か!!」


「もちろん! さっきの吸収のくだりで思い出したよ!」
宇沙子
(吸収のくだりで思い付いたのね)


「というワケで、俊ちゃんの体力回復のため
私からも少しエネルギーを与えなくてはなりませんのでうー……」(*´з`*)ウー
俊介
「そうだな……、こんなところで気を落としてはいられない!!」
スクッ。立ち上がる俊介。


「あえ?」
俊介
「麗、ありがとう。俺は正気に戻った。部室に戻ろう」

宇沙子
「あーあ、七六八と仲良くなれたと思ったのに結局元通りね……」


「おやおやクンクン? おやおやクンクン?」
俊介
「ん?」


「あ」

「匂いますねー、実に匂う……」


「僕と同族の匂いが☆」
俊介
「全面的に否定する!」

…………。

商店街路地裏。

七六八
「はぁ……はぁ……」

七六八
(……走ったからでしょうか。
なんだか変に胸がドキドキします……)
ぎゅっ

七六八
(一緒にいた方が、ずっと楽しいはずなのに……
俊介さんといると、なんだか恥ずかしくてたまらない……!)

七六八
(これってやっぱり……心不全!?)

七六八、まさか病気か……!?
次回号へ続く!

END