麗過去編に戻る
05
「水曜日朝」
次の日。

【背景:通学路】
早々登校中の俊介。

俊介
(やばい……。昨日はネット碁を打ちすぎた。
数局打って寝ようかと思ったら対局申し込み……。無視すりゃいいが、つい打ってしまう。
そしたらやたら粘着する奴で……。
断っても断ってもなんども対局を挑んでくるものだから、そこまで打ちたいならと引き受ける。
早碁含め10局ぐらい……。最後の1局以外全部勝ったが、勝負に勝って試合に負けた様な気分だった)

所変わって前方に麗。
くるっ


(来た!)

しゃがんでいる麗、俊介をみつける。


(昨日の画像の事は、ちゃんと説明すれば俊介君なら分かってくれるはず……
だ、大丈夫……。私達、付き合ってる!)

(コレからそういうの見せあう事もあるだろうし、気にしなくても大丈夫! だいじょうぶ……)

麗、お弁当箱を握りしめる。

俊介
(そいつのせいで寝不足だ。心無しか少々フラつく……。学校に着いたら寝よう)

(そういうのはちゃんとした場で見せるから消してって言えばいいだけ……!)

【se:がさ……っ】
前方にいた麗が立ち上がる。

俊介
「うおっ!?」
俊介
(び、ビックリした! やばい、意識が明後日の方向だった!)
俊介
(ていうか、麗……!? 何故ここに!?)

(こ、この驚き方……!!)
俊介
「お、おう。星野水……か。早いな……w はは……」

(きょ、キョドってる……! 見てない可能性も考えたかったけど、コレは……。
流石に届いてきたら見ちゃう……よね)

(っていうかなんで急に苗字呼び!?)
俊介
(やべぇ……すげぇビックリしたぞ。落ち着け恥ずかしい……)

「……う、うららって呼んで欲しい」
俊介
「お、おうそうだった、ウラーラ……」
俊介
「……麗は、朝早いんだな」

「ううん。いつもは遅いくらい」

「今日は、その……俊介君に会いたくて……」
俊介
「っ!!」
俊介
(はっ!! そ、そうだ忘れてた! 対局のことだ!
「早く対局したい」ああ、俺もお前との再戦楽しみに思うぞ!!)
俊介
「そ、そうか! そう思ってくれてるとは、ありがたい!」

「うん……////」

【se:タッタッタッタッ】
並んで歩き出す。


(……どうやって切り出そう)
俊介
(そうだ。例の写真の事。麗ならなにか知ってるかも知れない)
俊介
「そういえば、昨日宛先不明で画像が届いたんだが……」

「うぇ!?」

(向こうからキタ!)

「へへへ変じゃなかった!?」
俊介
「いや、変っていうか綺麗な画像だったよ」

「き、綺麗……?」

「え、えーとアドレス見せてくれる?」
俊介
「ああ、コレだが……」

(!! ……希新ちゃんのアドレスだ! っていうことはやっぱり……)
俊介
「あ、画像も見るか? 良く撮れてるぞ」

「ほぇい!? いいいいいです見なくて!! 自分の見てもどうしようもないです!!」
俊介
「え? ああ、この制服着てるの麗なのか? 顔がよく見えないんだが……」

「いやっ!? え? 顔が見えない?」
俊介
「ほら、顔見切れてるだろ?」

「いやいや……! こっちに向けないで下さい!」

(見切れてる? っていうことは私だってことは気づかれていない!?
墓穴掘った!?)
俊介
「なぁ? これ? 麗なのか」

「え!? いや……あっ……あぁーあの……」

「き、きーあーらーちゃん……かなー?」
俊介
「キアーラ? 知らない名前だなぁ」

「えーっと、そのアドレスの送り主……そう! 希新ちゃんだよ! それ!」
俊介
「へー希新か……なんでこんな画像?」

「ほ、ほら、俊介君に気があるんじゃないかな? オープンな人だよねー……」

(いきなり人に性器晒すなんて、どんなオープンな人だよ……)
俊介
(ほう「囲碁大好きです!」とオープンな画像を送ってくるとは好感が持てるな)

(うぅ……希新ちゃんにバレたら性的に殺されそう……)
俊介
「希新かー。俺、こういうのすげぇ好きなんだ。
特にこの(石の)部分、光沢のあるつるっと膨らみのある丸み。俺こういう形大好き!!」

「や、やめてくださいよ!! 人のあそこの形を語るのは……!」
俊介
「こういう良い形見てると、パクッっと口に頬張りたくなってくるよな」

「ほおばる!? それってクンn……!? ええ!? 汚いよ!」
俊介
「汚い、ああ確かに……。でもこの形はなんか飴みたいだし、麗はやりたくならないのか?」

「なるわけないでしょう!? レズじゃないんだから!!」
俊介
「レズっておい……」
俊介
(別に碁石舐めたからってレズにはならんだろ)
俊介
「まぁ確かに。ペロペロしたりするのは子供までだよなw」

「おいぃ!? ってそれむしろ大人ですよ!! そんなっ……あそこペロペロだなんて!
子供が好きでやるわけないじゃないですか!!」
俊介
「え? でも、近所の幼稚園くらいの女の子が俺の口に含んだり、ペロペロしてたけども?」

「ちん……ってそれ犯罪ですよ!! いや、まだ俊介君中学生だけど!? 犯罪レベルですよ! それ!!」
俊介
「いやー、俺も事故が起きる前に言ったよ。「それは食べ物じゃないぞ」ってな
そしたらその子「全然ミルクの味しないよー」って言ってなw アメじゃないんだからw」(白石で)

「変な知識与えないでくださいよ!! もー!」

「あ、でも俊介君のなら……私もほおばりたくなったり……」
俊介
「え? 俺の?」(碁石を?)

「ゴ、ゴメン! 聞かなかった事に!!」
俊介
「ああ、そうだ。今度麗にも俺のモノ(碁盤)も見せてやるよ。立派なの持ってるぞー」

「や、やめてくださいよ……!! まだそんなに話してないのに立派だとか……」
俊介
「ほら、俺の部屋にいろいろあるからさ。今度来て見ると良い」

「いろいろって、グッズ!? さ、最初はやさしくしてくださいよ!?」
俊介
(優しく? 対局の事か)
俊介
「やさしくって、それはこっちの台詞だ。麗のほうがバシバシ打ってくるだろうしな」

「バシバシって!? そ、そんな女王様みたいなことしないです! 私は結構受けの方で優しいほうなんです! 多分!」
俊介
「そ……そうなのか……?」
俊介
(確かに麗なら受け碁も強いだろうな)

と、あることに気付き画像を見る俊介。

俊介「ん?」
俊介
(じーー……)

(うわわっ……あの画像すっごい見てる……////)

「あ、あんまり見ないでください……」
俊介
「え? なんで?」
俊介
「ほら、うしろに池があるだろ?」

「水たまりです」
俊介
「水たまり!?」
俊介
「ま……まあ確かに大きな水たまりではあるな。それで、なんか2、3匹泳いでるだろ、これ」

「!」

(あ、いじめっ子達の事言ってるんだ……。私取り押さえられてたから……)

「えっと……みんなで4人かな」
俊介
「にん? つまり4匹か……」

「あの……無理やり捕まった感じに撮れてる?」
俊介
「いやー、そんな感じには見えないなぁ」
俊介
「優雅に水たまりを泳いでる様に見えるな」

「泳いでませんよ!! そんな汚い場所!! なんで優雅に泳がなきゃならないんですか!?」
俊介
「お前じゃねーよ? こっちの画像の方だよ!?」
俊介
「うーむ……。コレは……「コイ」かな」

「恋!?」
俊介
「ああ、間違いないだろう」
俊介
(良い和室に外で優雅に泳ぐコイ。希新ってやつは金持ちの家なのだろうか?)

「え? だ、だだ誰に!?」
俊介
「誰にってなんだ!? この画像に写ってる奴だよ」

「うっそ恋したの!?」
俊介
「まぁなんでもいい(どんな魚でも)。早くこの素晴らしいモノ(碁盤)を持ってる希新とやらに会ってみたいな」

(うわー! どどどどうしよう!? 俊介君が希新ちゃんに恋しちゃった!?
今からでも「それは私です」って言っちゃおうかな?! でも下半身丸出しの画像だし痴女っぽいし!?)
俊介
「この希新って奴。囲碁、打てるんだろ?(碁盤持ってるわけだし)」

「え?」

「う……うん」

(そのトイレの画像でそこまでわかっちゃうとか俊介君ってエスパー?)

【背景:暗転】
【背景:学校の下駄箱】
麗、隣の下駄箱へ向かう。
【se:たたたたた……】

俊介
(ああ、俺の下駄箱は1組。麗は2組か)
【背景:暗転】
【背景:廊下】
教室の前まで来る。

俊介
(とにかく仮眠だ。頭が回らない……)

「ありがとう俊介君。おかげでなんか吹っ切れたw
なんだか、つまんないことで悩んでたんじゃないかって思えてきたもん」
俊介
「ん?」
俊介
(なんか悩み事でもあったのだろうか?)

「ま、またぁお昼に!」
俊介
「昼? ああ……」

「あっ、そうだ!」

麗が戻ってくる。
麗が耳元に顔を近づけ。


「その画像。オカズに使っても私怒らないよ♪」
俊介
「そんな趣味はねぇよ!?」

「またまたーw 好きなクセにーw」
俊介
「確かに好きだが、そういった好きではなくてだな……」

「じゃあ、その画像誰にも見せないでねー!」
俊介
「ああー」
俊介
(って見せびらかすような画像でもないだろ……)
【se:たたたたた……】
麗、2組みに入って行く。
俊介
(そういえばあいつ「お昼に」とか言ってたな。ひる? 昼に何か……?
食後の一局でもするのだろうか?)