麗過去編に戻る
06
「水曜日1時間目休み」
【背景:教室】
1時間目の授業が終わる。

俊介
(きあら……。麗以外にも囲碁を打てそうな奴はこの学校に通っているらしい。
とはいえ、学年もクラスも、顔すら分からない)

【se:ピラリ】
楓河、おもむろに週間囲碁雑誌を開く。

俊介
(麗は知ってるみたいだったな。あの時聞いておけば良かった……)
楓河
「あ、今回の棋聖戦一回戦高原7段が勝ってる。そういや、高原っつったら同じ学年にいたなぁ娘が。
あいつもうちょっと性格良かったらなぁー。確か名前は……」
俊介
(囲碁雑誌……。ダメ元で、楓河にでも聞いてみるか)
俊介
「なぁ楓河。「きあら」って知ってるか? 囲碁打てる奴みたいなんだけど」
楓河
「ああ! そう希新だきあら! 高原希新! 俊、よく覚えてたな」
俊介
「覚えてたというか、ついさっき知ったまでだが……」
楓河
「あん? そうなの?」
楓河
「まぁそいつがさー。ちょっと厄介な奴でさ。女子のいじめ集団の大将なわけよ」
俊介
「なんだって……!?」
俊介
「そんな……囲碁の道を志す者が……本当か?」
楓河
「いや、俺も実はあんまりよくしらない。
でも、あいつんち金持ちらしいし。いろいろ権力的なモノがあるんじゃねーの?」
楓河
「あと兄貴がラグビー部らしくてくそマッチョ」
俊介
「欧米か!?」
楓河
「いやマジで。関係してるかは知らんが何人か病院送りにしてるらしい……」
俊介
「そいつはやばいな」
楓河
「つうわけで、兄貴にボコられる噂も流れてて、そいつらには誰も手ぇ出さないわけよ」
俊介
「……」
楓河
「まぁあいつらには関わらない方がいい。変な事に巻き込まれるぞ。平和な中学生活が一番!」
楓河
「希新について調べるのはいいが、学校来れなくなる前に程々にしとけよ」
俊介
「え、ああ……」
俊介
(むむ、万事休すかな……。あの画像から優しさも垣間見れた気がしたが、気のせいだったか……)