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07
「水曜日昼休み」
【背景:教室】
お昼休み。

俊介
(終わったか……。ああ、ついに来たかこの時間! 俺の愛する給食よ!
俺はこのためだけに学校に来てると言っても過言ではない!あと囲碁)
俊介
(そういや、麗は休み時間の合間とかで会いに来たりしないだろうか?
折角の囲碁が打てる仲間だ。「何で学んだんだ?」とか会話をしてみたい。
いろいろあるから忙しいのだろうか?
まぁ別に恋人ってわけじゃないし、そこまでする必要はないのだろう)
楓河
「う〜……やべぇ腹減った〜!」
俊介
(っていうかこっちには囲碁仲間の楓河もいる。
対局はできなくても、囲碁の会話でもしにくれば良い。
逆に2組に乗り込んでやろうか)

【se:コトッ】
楓河が弁当を取り出す。

俊介
「え……弁当?」
楓河
「あ? 間違えたか? 今日第二水曜だよな?」
俊介
(しまった……!!)
俊介
(そうだ、すっかり忘れていた! 今日は水曜! 毎週2,4は給食なし!
寝不足な上に急いで出たせいで弁当に目がいかなかった!
ああ、もし俺に可愛い妹がいれば「俊介くーん、お弁当忘れてるよー」
なんて恥ずかしながら持ってきてくれただろうに!)
【ダン!】
楓河
「俊、お前弁当忘れたな」
俊介
「ああ……その通りだ」
俊介
(購買……!!)

【se:ガタッ】
立ち上がる俊介。

俊介
「そうだ。購買のおばちゃんが来てるはずだよな?」
楓河
「ああ、来てる来てる」

【se:ジャラ】

俊介
(大丈夫だ、金はある! 売れ残りでいい、今から行けばまだ間に合う!)

( ; ゚д)ザワ(;゚д゚;)ザワ(д゚; )

俊介
「じゃあちょっといってく(ry」
楓河
「ん? なんだなんだ?」
俊介
「……!」

「っ……はぁ……はぁ……!」
俊介
「う、麗……」

「おっおっおべんとーを! っしょに食べようとおもって……って!!」
俊介
「……?」
楓河
「……!」
俊介
(なんという光景だろうか。
可愛い女の子が「お弁当一緒に食べよう!」と言いに来るシチュレーション。
世の男性陣が憧れるこのシチュレーション。それ自体はなんと嬉しいことだろう)
俊介
(だが、今俺は弁当がない……!!
ていうか、何故周りはざわついてるんだろうか……?)
楓河
(う、麗ちゃんじゃん……。この前の事があっていろいろ調べて見たけど……。
この子いじめっ子に目付けられてるんだっけ……。
やっべー……あいつらが来る前に別の所に行っとこう……マッチョに掘られるのは勘弁)
楓河
「じゃ……じゃあ俺、あっちで裕二達と食う(ry」
俊介
「おいまて!」
【se:がしっ!】

俊介
(あれか……この状況。「付き合ってるんじゃね?」的なやつか?
楓河も気を使って逃げようとするし。別に全然そういう関係ではない!!)
楓河
(おいおいこんなところ、いじめてるやつらに見つかっちまったらタダじゃ済まないぞ……)

【se:ぐいっ】
俊介、楓河を寄せ小声で話す。
コソコソ
俊介
『麗に失礼だ、逃げんな』
楓河
『やめてくれ俊……。俺まで巻き込むな』
楓河
『気持ちは分かるが、ダメヅマリじゃあしっぽを切らなきゃならないときもあるだろう?』
俊介
『何がダメヅマリだ? コウでも作って頑張れよ!』

「あの……」

「やっぱり……迷惑だった?」
俊介
「違う、迷惑ではない。俺が弁当忘れたからこいつにパシらせようとしただけだ」

俊介、楓河を放す。

「え!? 俊介君お弁当忘れたの!?」

「凄い!!」
俊介
「自慢じゃねぇよ」

「ちがくて! ちょっとコレもってて!」

「ん?」

麗が自分の弁当を俊介にもたせる。

【背景:暗転】
数秒後。


「じゃーん! お弁当作ってきました!!」
俊介
「おおおっ! あなたが神か! ありがたい……!」

「へへへ……////」

(自分のお弁当を作るついでに、余りでなんとなくもう一つお弁当を作っておいて良かった。
練習に俊介君に渡すつもりで作って、後で自分で食べようかと思ってたけど、結果オーライって感じ)

楓河
「( ^ω^)……」
俊介
「では早速頂こうか!」

麗の弁当を手に取ろうとする。
希新
「いたいた……。こっちにいた……」
希新
「手間かけさせないで欲しいなー全く……」

希 新 登 場。


「…………!」
希新
「さっき走ってたのみて、何事かと思ったら……まさかこんな……ねぇw」

希新とDQN女3人が俊介の前に立つ。

俊介
(こいつらは昨日の……。
麗の友達のだれそれちゃん、じゃねーか!!)

ここでは俊介は、この人が「希新でありいじめっ子のボス」とは気付いていない。
希新は別に居て、この人達は麗のただの友達だと思っている。

俊介
(これはいい! この前の事を謝って、みんなで一緒に弁当を食おう!)
希新
「うららー、ここはトイレじゃないよー? 場所間違えたのかなー?」

「ぅ……っ」
希新
「ほら、いつものトイレの3番目空いてるよー? あんたの特等席だもんねー?」
俊介
(……?)

「……」

下を向く麗。
ムッとする希新。

希新
「じゃー連れてってあげよっかー」

ぐいっと麗の手を引く。

俊介
(ん? 麗はやっぱりあっちのチームで食うのか?)

俊介、麗の持ってる弁当を見る。
俊介
(あ、弁当が!)

「おい!!」

【se:ガタン!】
席を立つ俊介。

俊介
「待て……! そいつは俺のモノ(弁当)だ。 持っていくな」
俊介
(空腹でヤバい。弁当だけは置いてってほしい)
q2
「は……?」

「しゅ……俊介くん……(私が俺のモノだなんて////)」
希新
「…………」
希新
「……ぷっ! はっはっはっはっはっはwww!!」
希新
「おれのものwww はっはっはww 俺のモノってwww あんたら仲いいわねーww」
俊介
「?」
希新
「いやぁ愉快ww もう愉快すぎてwww」
希新
「クソ虫酸が走るわー」(ギロッ
希新
「俊ちゃんしらないのー? うららがー、自分の居場所で嫌がるわけないでしょー?」
俊介
「なに?」
俊介
(そうか! この麗の友人……俺が急に麗と仲良くしだしたから嫉妬してるのか)
俊介
「心配しなくてもいい。俺はお前ら全員と仲良くしていくつもりだ」
希新
「はっはっはww そーう! それは嬉しい限りねー!!」
希新
「そっちがその気なら、私も仲良くしてやろうじゃない……!」
希新
(宣戦布告とはイイ度胸!)
楓河
(うわーっ、俊介なんてことを……!)
俊介
「ほう……そうか」
俊介
(なんだ。意外と話の分かるやつじゃないか)
希新
「うらら、ほら左左」

「ん……?」チラッ

【se:バシッ!】

希新
「ほら取れたーw おべんとーwww」

麗が持っている弁当を奪う。


「!?」
俊介
「!?」
俊介
(俺の弁当……!!)
希新
「ふゆーん! 先に弁当からー、特等席でお待ちしてますー」

「まっ……!」

「ダメそれは……!」
希新
「んー? 何がだめー?」
希新
「開けてみようかー」
希新
「わーww なにこれーww かわいいww」
希新
「タコさんウインナーww ゴハンがハートとか自惚れー?www」
俊介
(どんな発想だ……)

希新はこの弁当が麗の物だと思っている。

希新
「あーやばーい、手が滑っちゃったなぁー……」ニヤァ

希新はくるっと弁当を裏返す。
そして離した。


「え…………」

「っ!!」

(俺の弁当が……!?)

【se:ゴトン……!】
地面へと散らばる弁当。


「ぁ……ぁ……」
希新
「あーごめんごめーんw」
希新
「落としちゃっ(ry」
【se:ゴォッ】

【se:グイッ!】
希新
「んぐっ……!?」

俊介、希新の胸ぐらを掴み上げる。
【se:ぐぅ〜〜っ(俊介の腹の音)】

俊介
「貴様……人の飯を……!!」

( ; ゚д)ザワ(;゚д゚;)ザワ(д゚; )
周りがざわつき出す。

希新
「あ、あらー……。女の子に手を上げる気ー?
ていうか、私に手ー出してただで済むと思ってるのかなー?」
俊介
「どうなるって言うんだ? お前が先に弁当のようになるのまでは読めるが?」

「俊介君、やめて……!」
俊介
「いや、麗。お前は関係ない。俺の弁当の問題だ」

「はい!?」
俊介
「お前はあれか……。俺と麗が仲良くしている事がそんなに気に食わないのか?」
俊介
(友達の麗が俺と仲いい事にそんなに嫉妬することか!?)
希新
「はっ……当たり前でしょう」
希新
「気に食わないわね!!」
希新
(用心棒とばかりに人を使っている麗が気に食わない、分けないでしょう!?)

「……!?」

(えーと、希新ちゃんは私をかばった俊介君を見て「気に食わない」……って言ってる。
っていうことは、えーと……。
大丈夫。私は深く読むのは得意! なら、これはつまり!?)

(あ……あれー!? もしかして希新ちゃん、俊介君の事好きなんじゃ!?)
希新
「あなたが可哀想でほっておけなくなってきたわ」(麗に対しての嫌味的な意味で)
俊介
「ほう、同情は無用だ。これでも友人は多いモノでな」(そのままの意味で)
希新
「ふーん戦力自慢ねぇ……」

(どどどどどどうしよう!? 恋の三角関係がココで出来上がっちゃってるよー!)
希新
「!」

と希新、なにかにひらめく。

希新
「ああ、そうそー。俊ちゃん。私が送ってあげたあの写真見てくれたー?」
俊介
「……?」
希新
「手離すのと交換条件。ほら送ってあげた、あの麗の画像ー」

「っ!」
俊介
(麗の画像? ……そんなの届いてないぞ。そもそもこの子は俺のアドレス知らないはず……)
希新
「綺麗に取れてたでしょーあれ?」
希新
「ねー。覚えてるでしょー? うららー!?」
希新
「あんたの(ry」

【se:つるっ!】

俊介
(う! 弁当の具で滑った!!)
希新
「画z(ry!?」

【se:ばたん……!!】


「え?」
楓河
「あ!」

俊介の前方、希新の後方に倒れる!
俊介
(ヤバい!このままだとこの子が後頭部を打つ!)

俊介は咄嗟に右手を伸ばし、希新の後頭部を庇う!

【se:ちゅー(^ε^)-☆!!】

希新
「んん〜〜!?////」

俊介と希新が思いっきりキスをしていた!!


(ぎゃーーーーーーー!!////)

ぐいー!!

希新
「ちょっっちょーおおっとおおーー!! 何キスしちゃってるわけーー!?////」
俊介
「す……すまん。不可抗力だ。弁当が滑って……!」
希新
「って、っていうか! なんで後頭部に手を置いたー!? すっごい……! もう綺麗にその、入っちゃったじゃない!!」
俊介
「違う、そんなつもりはない。後頭部を床にぶつけないよう、守ったまででだな……」
楓河
「なるほど、お前ら……そういう関係だったのか……」
俊介
「今までの流れからその発想はおかしいだろ!?」

(しゅ、俊介君が、希新ちゃんを押し倒して……!!)

「ひどいっ!!」
【se:ダッ!】

俊介
「うらっ……!?」

麗、顔をおおって走り出す!
【se:たたたたたた……】

俊介
(おいいーーーーー!!)
俊介
(い、行ってしまった……)
希新
「!」

【se:ドン!】
希新、俊介から離れる。

希新
「あ、あーあ! にげちゃったねー。……嫌われたね俊ちゃーん」

希新、口を拭きながら。

俊介
「な……」
希新
「今日のところはこのへんにしといてあげるわ……。次はその……こうはいかないわよ!!」
希新
「ひどいっ!!」
【se:ダッ!】
背を向け猛ダッシュする希新。

俊介
「こっちも!?」
俊介
「な…………?」
楓河
「いわんこっちゃないというか……。面倒なのに巻き込まれちまったな」(ポン
俊介
(ああ、あとで面倒な事になりそうだ……)