麗過去編に戻る
09
「水曜日帰宅後」
【背景:俊介家リビング】
俊介、飯を食う。

俊介
(美味い! 空腹の末、食う飯は格別だな!)

「あ、今日お弁当忘れてったでしょ? ごめんなさいね、届けれなくて」
俊介
「え、そんなイイんだ母さん。俺の方こそ折角作ってくれた弁当を忘れてしまった。申し訳ない」

【se:プルルルルルルル……】


「あら、電話ね……」

【se:ガチャ】


「はい、もしもし? ……あ、なに? こんな時に……」
俊介
(ああ、いつもの母さんの友達か。まぁ俺にかけて来る時は携帯だろう)

「……へぇそう……。場合によっては、少しシツケが必要そうね……」

【背景:俊介部屋】
部屋に戻りベッドに横になる。

俊介
(ああ……。なんだかどっと疲れたな。朝から寝不足だった上、昼飯は軽食……。
今腹いっぱい食ったら、良い感じの睡魔が襲ってくる。
休憩中の数分の仮眠じゃ、眠気覚まし程度にしかならなかったんだろう)

俊介
(俺は寝る……。もう起きる事は…………ない……zzzZZZ)

………………。
…………。
……。

【背景:暗転】
【se:カッカッカ……(時計音)】
ぱちり。
目を覚ます。

俊介
「んっ〜……くっ! ああー」
俊介
(まぁ、起きるけどな)
俊介
(何時間寝ただろう……? 外は夕暮れ、暗くなってきてるな。えーと携帯携帯……)

【se:カチッ(携帯音)】
俊介携帯を開く。

俊介
(6時ちょい。大体1時間くらいか。)

【se:ピッ(携帯音)】
例の碁盤の画像を開く。

俊介
(麗曰く「希新」とやらからのこの画像……。何故俺に送って来たのか?
俺が囲碁打てるということを知っているからか?)
俊介
(楓河の話ではプロ碁士の娘らしい。
まだ一度も会った事がないのが惜しいな……)
俊介
(思えば麗は希新と知り合いみたいな話ぶりだった。
楓河の話からしても身近な存在である可能性……)
俊介
(いや、ならば顔が確認できないだけであって、一度会ったことがあるやつかも知れな……あれ?)
俊介
(このくるくる髪、どこかで……っ!!)

【se:ガバッ】

俊介
(あいつが……希新……!?)

【se:ててててーてーてーてっててー♪】
メールが届く。

俊介
(! メールだ! だれからだ……?)
俊介
(麗から? なんの用だろう……?)
俊介
(「行けなくてごめんなさい。まだ合えますか? 下辺公園でまってます。」か……)
俊介
「はぁ……。ああ……」
俊介
「何やってんだ、俺……!!」

【se:ばたん!(ドア音)】
部屋を飛び出す俊介。
【se:たたたたたた!】
公園へと走る。