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10 「水曜日夕方」 |
俊介 [俺は走った! そういえば自転車があった! 自転車に乗り、全力疾走だ!] 俊介、自転車に乗る。 俊介 [下辺公園はここからは結構近い! 自転車で飛ばせばそんなに掛からない!] 俊介 [希新……! そうだあの縦ロール! 昼に弁当をぶちまけたあいつ! あいつが希新だったんだ!] 俊介 [俺の思い過ごしでないことを祈る! 早く行かないと……!!] 【背景:下辺公園】 【se:キィィイ!!】 自転車を止める。 俊介 「はあ……はあ……」 公園へ入る。 【se:たったったった……】 俊介 (どこだ? どこにいるんだ……?) 【背景:ブランコ】 【背景:滑り台】 【背景:木の影】 【背景:砂場】 【背景:長椅子】 【背景:自販機】 …………。 俊介 (……居ない) 俊介 (姿が見えない) 俊介 (どこにも……いない?) 夕焼けが照らす、無人の公園がそこにあった。 俊介 (……なんだこれ。あいつ、帰ったのか? やっぱり俺の思い過ごしだったのか? 全部勘違いだったのか?) 長椅子に座る。 俊介 (はぁ……。毎度なにやってんだ俺は……。ああ、俺がバカだったよ……。 楓河の言う通り、関わらなければ良かったよ) 俊介 (ああ……そうだ) 俊介 (まさか麗が……いじめグループの一員だったとは……!!) 俊介 (いやいや! 落ち着け! まだそうと決まったわけでは無い。 本人に確かめるまでは、確定付けるのはまだ早い! それを聞きに来た!) 俊介 (ほら、友達ってだけで「部外者だよーん」なんて事はあるだろう? だが、希新のマッチョな兄貴に掘られるのだけはゴメンだぜ……) 俊介 (てか……。会って少ししかたってないだろ。あいつと俺……) 俊介 (共通点ってなんだ? 囲碁だけじゃねーか) 俊介 (それ以外知ってることは? 弁当を作れるぐらいか) 俊介 (なんで追っている? 俺より囲碁が強いからか?) 俊介 (ネット上にはいっぱい居るだろ? そうだろうな……) 俊介 (じゃあもう関わりを持たなくても平気だな? 平気だよ……) 俊介 (……もう、終わりにしようか? ……そうしよう) 【se:カタッ】 俊介、立ち上がる。 【背景:公園の入口】 自転車のある方へ向かう。 【se:タッタッタッタ……】 俊介 (……おわりか) 俊介 (はは、そんなこと出来るわけないだろ……。もう関わってしまったんだ。 終わらせられない……) 【se:タッタッタッタ……】 俊介 (いや、なんだろう。関わった関わらない以前に……終われないんだ) 【se:タッタッタッタ……】 俊介 (いつの間にか、変わってしまってたんだ。俺の気持ちが……) 【se:たったったっ!】 俊介 「ああ……そうか。俺、あいつのことをー……」 【se:たたたたたっ!!】 麗 「ごめん……。」 【se:スザッ……】 風景全体。 俊介 「……」 俊介 「トイレ、長いぞ……」 【se:ザァァ……!】 振り向くと、そこに……。 麗 「へへ……ごめんね。出にくくて……。」 麗が、立っていた。 俊介 「ああ、麗……。俺、麗の事……」 【se:ブワッ……!】 俊介 (ライバルじゃなく、めっちゃ良い師匠になるんじゃないかって思ってる……!!) 【se:だきっ……!】 俊介 「……!?」 麗、俊介に抱きつく。 俊介 「なっ……!?」 麗 「ごめん……。私、ずっと勘違いしてたと思う……」 麗 「俊介君が希新ちゃんとキスしてて……希新ちゃんに恋したから好きになったのかなって思って……」 麗 「私……俊介君が取られたら、どうしていいか分からなくて……」 俊介 (なんかよくわからんこと言ってる!?) 俊介 「違う、違うんだ麗……。あれは(ry」 麗 「ううん! 何も言わなくてもイイ……もう、分かってる」 俊介 (流石、理解力が良い!) 麗 「ただ……もう少しだけ、このままでいさせて……」 俊介 「……スマン。悪かった(弁当のこと) これだけは言わせてくれ」 麗 「いいよ……俊介君(私のために)頑張ってくれたもん」 俊介 「でも、お前……頑張ったのにな(弁当作るの)結局、救えなかった(弁当を)」 麗 「ううん……十分(私は)救われたよ……」 俊介 「えっ?」 俊介 (いや、結局食えなかったけど?) 俊介 (とにかく安心した。また、会うことが出来た……。 ハグしてきた理由? そんなのなんでもいい) 俊介 (きっと、ハグが挨拶のお国柄の人が知り合いなんだろう。 俺もハグラーだ! ハグの挨拶は最高だぜ!) ぎゅっとハグを返す俊介。 麗 「!」 俊介 (ちゃんと挨拶し返さないと失礼だしな) 麗 「や……やめてって……恥ずかしっ……っ」 【se:ぎゅっ】 麗が、俊介の服を掴む。 俊介 「……言ってることと行動がだな……」 麗 「だ……からっ……やめてっ……」 麗 「うっ……だって……っ!」 麗 「そっんな…っこと……さ…れったら… ぁっ…う…ぐぅ…っ…泣…っきたぐ…っ…うっ…な…るぅっ……!」 俊介 「……!?」 麗 「う…っうぅぅっ……うぅ………っ……!」 俊介 [麗は泣いた……。よく泣く子だ……] 俊介 (……) 俊介 [そんなに強く締め付けただろうか……? そんなにつらい事でもあったのだろうか……?] 俊介 [小さくて、今にも消えてしまいそうなその体……。 挨拶か……まぁ、そんな勘違いも、悪くはない] 俊介 [俺は麗を、強く抱きしめた] 俊介 [今は6時半頃だろうか……。夏の光はまだ明るく暖かい] 俊介 [夕焼けが、茜色に染まり全てを包み込むような、そんな暖かさは 俺たちを、包み込んでいる様に感じた…………] ………………。 …………。 ……。 【背景:暗転】 場所が変わって。 【背景:とある廃倉庫】 q2 「うーす。ジュース買ってきた」 q3 「おお!マジサンキュー!」 q2 「なぁ、きいた? 希新さん。 あの童貞野郎、弁当で希新さんを滑らさた事の仕返ししてやろうと思ったら、もう帰ってたってよー」 q3 「うわ、マジかよ」 希新 「うん、知ってたー」 q2 「マジふざけんなよ! 普通なら逮捕じゃねーの!?」 q3 「ていうかあいつ結構イケメンじゃーん? 私タイプかもー」 q2 「おめーは顔が良ければ誰でも寝るもんなw」 q3 「はぁ? 誰でもじゃねーし!」 希新 「やめなさいよ!! そういう話は!!」 q3 「わっ! なに? いきなりムキになって……!」 p2 「あ! 希新さんもしやあの時のキスであいつにときめいちゃったとか?ww」 希新 「ば、馬ー鹿なこーと言ーわないでよー!!」 希新 「そーんな……あーるわけなーいでしょー!」 q2 (うわっ……。こりゃマジだ) q3 (乙女だなぁ……) q2 「これから、どうするんです?」 【se:パチン】 携帯を閉じる。 希新 「もー手は打ってある。ただ……もう少しギャラリーがいた方が楽しそー……」 希新 「そろそろ、男手が必要になるころあいかなー」 q3 「うわw ちょっとまじw」 希新 「ええ……。そうねー」 【se:ギィッ】 くるりと椅子をまわし。 希新 「そろそろ麗達に、人生の投了をしてもらわなきゃ……ねー」 |