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「木曜日決戦前」
麗視点
【背景:通学路】
【se:たったったったった……】
帰り道を歩く麗。


(ま、まずったー。調子に乗りすぎたー。俊介君怒ってるだろうなぁ……)
q2
「いたいた……あれ!」
q3
「やっときたかー」

「……?」

「っ……!!」

麗DQN集団に気付く。
麗、スッと壁の陰に隠れる。


(何故あいつらがここに……!?)
q2
「隠れても無駄だってー」

(ああ、そうだそうだ! 完全に油断してた……!
今日はいないとばかり思って浮かれていt(ry)

【se:ザッ】
と、でかい影。
q4
「希新さんがお呼びだ」

【背景:暗転】

【背景:図書室】
学校に戻って。

【se:カリカリ……】
ノートを移す楓河。

楓河
「いやー、お前らが付き合ってるとは知らなかったぜー」
俊介
「残念ながら楓河の想像はハズレだ。付き合ってはいない」
楓河
「嘘付け! お前さっき麗ちゃんに指マンしてただろ?」
俊介
「…………」

【se:ガタッ……】
俊介、椅子を立ち。

俊介
「お前には行ってなかったが俺はプロのマッサージ師でな。麗に限らず数百人の女を指マンしてきた!」
楓河
「うえぇ!?」
俊介
「ちょうと麗で校内全ての女のあそこを触り終えたところだ。
ちなみにこの能力で、相手の健康状態や血液型が分かり、相手のダイエット効果にも繋がる」
楓河
「なんかよくわからんけど、俺にもその能力教えてくれ!!」
俊介
「というのは冗談。更には麗に対してもお前の勘違い」
楓河
「わーってるってww そんなの信じるわけねーだろwww」

椅子に座る。
俊介
「本当は麗に指ペロペロして貰っただけだよ」
楓河
「はははw そういう事だろうと思ったよ」
俊介
「…………」

【se:カリカリ……】
ノートに移し中。

楓河
「…………」
楓河
「……っておい俊介、ちょっとまて!!」

【se:ブーブーブーブーッ】
携帯バイブ音。

俊介
「ん?」
俊介
「まて、メールだ」
俊介
(このアドレス……! 希新から……!?)
俊介
「……!」
俊介
(こ……これは!!)

【se:パタン……】
携帯を閉じる。

俊介
「楓河、すまんが急用が出来た」
楓河
「いや、ちょっと待てって俊(ry」
俊介
「なんだ? 今お前が求める様な正しい返答は出来ないかもしれない」
楓河
「ん?」
楓河
「ちげーよ。ノートあと3行程度で写し終わりそうなんだ。どうするよ?」
俊介
「そうか……」
俊介
「だが急用でな。ノートは明日で良い。悪いが先に帰らせてもらうぞ」
楓河
「ああ、そうかいそうかい」
俊介
「じゃっ……!」

【se:ガララララ……】
図書室を出る。

楓河
「ま。がんばれよ……」

【背景:暗転】

【背景:通学路】

俊介
(希新……! あいつ今、麗と一緒にいる!!)
俊介
(なんてやつだ。この行動力の早さ……! 俺と麗の対局を嗅ぎつけてか!? まさか、そんなハズはない!)
俊介
(「麗に会いたかったら、東橋の一番奥にある「F5」って書いてある倉庫に来るように」
うかつだった! 希新達が居ない事! なにかあると読むべきだった!
「みんなで学校に来ない」そんな状況に、もっと注意を払うべきだった!)
俊介
(くそ! そんなの誰が分かる!? そんな事わかったらエスパーだろ! そうだ……!!)

俊介
(今……! 麗と希新は対局してる!!)

俊介
(いや、厳密には「対局中かも知れない」だ! 俺も今すぐ観戦に行くぞ!! 待ってろよ!)
俊介
(……ていうか、希新のやつ普通のメールも送れるんだな。
あのなんていう暗号? ギャル文字? アレで送られてきたら解らなかったぜ!)

【背景:暗転】

【背景:倉庫前】

俊介
「はぁ……はぁ……!」
俊介
(川沿いの使われてない倉庫……。ドラマなんかで良くありそうなイベントだな……。希新の家の所有物か?)

【se:タッタッタッタッタ……】

俊介
(大々的に対局をしようというのだろうか……。希新の家は確か金持ち……。
金持ちのやることはよくわからんな)
男1
「おい、あいつ……」
男2
「おい! そこのお前!」
俊介
「!?」
俊介
(観戦客!?)
男2
「お前が坂野巻俊介か?」
俊介
「あ、ああ……」
男1
「ひゅー! イケメーン!!」
男2
「分かっているな? 中に来てもらう……」
俊介
「…………」

【se:ガチャッ……】
大きい前のシャッターが開くのかと思ったら、となりの子ドアを開けた。

【背景:倉庫】
中はそこそこ広い。

【se:バタンッ……】
一角に机を組み合わせたであろうテーブルに、複数の形状のバラバラの椅子。
テーブルの上には乱雑したお菓子や服がある。

集団
「がや……がや……キタキタw」ニヤニヤ

そこに集まる集団。
希新含め、いつもの女3人に男が数名とプラスでがら悪い女も。
ほとんど年上の様だ。合わせて十数人くらいってところだろう。

俊介
(観戦者!! なんか、がら悪い奴が多いが不良の希新の友達か……なるほど)
俊介
(まぁ見た目だけで相手を判断しては失礼か。囲碁は幅広い世界に愛されてるものだしな)

そして倉庫の中央。
19路盤の碁盤が置かれている。

俊介
「!」
俊介
(対局か、思った通り……!)

麗、柱があって後ろで手を結ばれてる。

俊介
(お? 麗だ。対戦してるのかと思ったら……観戦の方なのか?)

【se:たったったったった……】

希新
「よく来たわねー俊ちゃん。怖気づいて来ないかもと心配してたわー」
集団
「HAHAHAHAHA!」
俊介
「丁寧に場所まで書いてくれたからな。それより、この碁盤……誰が対局するんだ?」
希新
「それは勿論、あんたと私……」
俊介
「え?」
希新
「そのために俊ちゃんをココに呼んだんだもの」
俊介
「ほう……それはありがたい! そちらから対局を申し出てくれるとは!」
希新
「んー? あーそうそう……」
希新
「うららー起きてー。俊ちゃんが迎えに来たよー」

「んんー……」
俊介
(寝てたのかよ。ていうか、二人の対局終わってた?)
俊介
「希新……? お前、麗となにかしたのか?」(対局とか)
希新
「ふふw いいえ、まだなにも……」
希新
「そう、まだね」

「っ……」
希新
「これから何かするかもしれないけど」
俊介
「っ……!」
俊介
(良かった! まだ二人は対局してないらしい。これからやるんだな。楽しみだ!)
希新
「はい、パンチラー」

希新、麗のスカートを上げる。

「ひうっ……!」
俊介
「!?」

ざわざわ……。

希新
「ほらー。綺麗なパンツでしょー? 中もねー。まだうちら。一切手を付けてないのー」

「んっ……」
希新
「何故かわかるー……?」
俊介
「?」
希新
「実はもっと前から俊ちゃんの存在は知っていたのー。そう、2人が出会う、その前から……」
俊介
「え?」
希新
「麗が毎回不振な行動を取るから後を付けたのー。そしたら、こっそり俊ちゃんを見に行ってたわけねー」
希新
「でー、私はすぐに気づいた。ああこいつ好きなのかーってねー」
俊介
(え? ああ、囲碁が。それで俺が囲碁好きなのを知ってたのか)
希新
「だから私は(麗の下まで)手を付けなかったのー。優しいでしょー」
希新
「ただ……それも今日まで」
俊介
「!」
俊介
(今日の対局まで、俺との戦いを控えててくれたのか!)
希新
「俊ちゃんは「それ」を見れるかも知れないねー。いいおかずになるねー」
俊介
「はい? おかず!?」
俊介
(ってこいつらは、囲碁をオカズにするのが趣味なのだろうか……碁ナニーとかそこまでの趣味はない。
碁盤の写真で麗もそんな事言ってたっけな……)
俊介
「悪いが……俺にはそういう趣味はない!」
希新
「はははwww 別にあんたの趣味にあるとかないとか関係ないのよ!」
DQN男3
「希新ちゃん! イイからとっととヤッちまおうぜ、そいつ!!」
DQN男4
「俺もパンツみてたら興奮してきたーwwwww」
希新
「だめだめー。もうちょっとまってねー」
スカートを直す。
俊介
「でー、俊ちゃんにはそれを防ぐチャンスを与えようかと思ってー」
俊介
「チャンス?」
希新
「ほら、目の前に碁盤があるでしょー?」
希新
「それで俊ちゃんが私に勝ったら、麗を返してあげようかなーって」
俊介
(返す? 希新のやつ麗と仲良くしてたことまだ根に持ってんのか)
希新
「どおー? 面白いでしょー?」
俊介
「あ、ああ……」
俊介
「だが少し分からない。何故俺と対局なのだろう? 麗から話は聞いてると思うが(ry」
希新
「あーそっか。まだ俊ちゃんには、こうする理由が分からないかー……」

【se:ギィ……】
希新、椅子に座る。

希新
(そうね……現状私の方が圧倒的有利! 今すぐ麗と俊介をボコボコにしてやっても構わない!)
希新
(でもね。それじゃ伝わらないのよ……! 私の苦しみが!!
絶対勝たなきゃいけないモノを負け、大事な物失う悲しみが!!)
希新
(同じ囲碁で晴らす……! それだけのこと!! ええ、聞いてるわよ俊介……あんたが弱いという事をね!!)
俊介
「なんでもいい……。こちらとしてはこのチャンスはありがたいものだ」(対局出来る事の)

【se:ギーィ……】
俊介も椅子に座る。

希新
「私が勝ったら……」
俊介
「?」
希新
「ここにいる全員が麗をレイプし、俊ちゃんをボコボコにする……いや」
希新
「俊ちゃんを私がレイプする……!」
q2
「なに言ってんですか希新さん!?」
希新
「それは私達の責任ではない。勝負を受けた俊介。あなたの責任」
希新
「わかってるー?」
俊介
「……」
俊介
(そういうことか……。いわば責任逃れの理由付け。そんな事のためにこのゲームを……)
俊介
「この前も言っただろう? 俺はお前と仲良くしてやると」
俊介
(そう……! 希新達は俺と友達になりたかっただけなんだ!!)
希新
「え? ……あ、ああそうね。こっちだって仲良くしに来たわよ」(敵対的な意味で)
俊介
「……もし俺が勝ったら?」
希新
「ププ……自由にどうぞー」
俊介
「なら、コレが良い。希新と麗は喧嘩してるんだろ?」
俊介
「だったら! お前と麗、俺が勝ったら……仲直りしろ!」
希新
「……っ!!」

【se:ガダンッ!!】
椅子から立ち上がる希新

希新
「はぁ!? 綺麗事いってんじゃないわよ!! あんたなにか!? どこぞのアニメの主人公気取りか!?」
俊介
(うえぇ!!? いやいや! 普通に考えてそうなるのでは!?)
希新
「今更……仲直りなんて……!!」
チラッと麗を見る希新。


「…………」
希新
「はぁ……分かったわよ。とっとと始めるわよ……」
俊介
「ああ」

【se:コト……】
希新が黒石を1子置く。
【se:カララララ……】
俊介が手に持ってる白石を並べる。

俊介
「……」
俊介
「奇数」
希新
「私が黒ね」
希新
「よろしくお願いします!」

「……!」
俊介
「よろしくお願いします」

(驚いた……。今のあの希新ちゃんが挨拶するとは……)
希新対俊介の対局が、今始まる!