麗過去編に戻る
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「進路と交渉」
俊介
(それから1年間、俺と麗は可もなく不可もなくといった具合で、仲良く過ごしていた。
夏が過ぎ、中学3年の秋の肌寒くなってきた頃の事だ)


「俊ちゃーん、なに見てるのー?」
俊介
(麗からはいつの間にか「俊ちゃん」と呼ばれる様になっていた)
俊介
「ああ、コレか?」
俊介
「高校の資料だ。「如月学園」俺はこの高校に進学したいと思っている」

「あ、見たことあるかも! 商店街の近くにある学校だよね?」
俊介
「それだ。この高校はひと駅電車で行けばすぐと割と近い、そして進学校でもある」
俊介
「そして注目すべきはココ。囲碁部があるんだ」

「囲碁部!!」
俊介
「ああ、まだ囲碁部内の環境については、よく分からない。
ただ……ココを見れば分かるように、去年全国大会で優勝している」

「おお。凄い!」
俊介
「それなりに強い奴はいるのではないかと思うが……。3年だったらもう卒業しているかな?」

「わ、私もココが良い!!」
俊介
「ああ、それで問題が発生する」

「問題?」
俊介
「ココは募集枠は大きいのだが……それでいて倍率が高い」
俊介
「毎年必ず1.00倍以上にはなるんだ。
まぁ如月学園の中等部から、登ってくるやつがいるんだ。当たり前の事だろう」
俊介
「それでだ……。実に言いにくいのだが、麗は学年でかなりどん底の位置の学力である」

「ギク……!」
俊介
「はっきり言うが、このままでは確実に如月学園には受からない」
俊介
「他に良さそうな高校も見当たらない。囲碁部が無かったり、距離が遠かったり……。
だが麗が望むなら、俺は別のところでもと考え直しても(ry」

「そこで良いよ!」

「環境がいいなら、そこでいい!」
俊介
「だが、麗が(ry」

「良いの! 私もココに入る!!」

「私、いっぱい勉強するから! 絶対俊ちゃんと同じ高校に合格する!!」

「だから、俊ちゃん! 私に勉強教えて!」
俊介
「あ……ああ、それは良いが……」

「それで、私が俊ちゃんに囲碁を教えてあげる! それなら文句ないでしょ?」
俊介
「え? そりゃありがたいし、文句はないが……問題はそこじゃなくてだな」

「では、交渉成立!」
俊介
(コレからの勉強はともかく、今までどん底だった麗に、
その「今までのぶん」を覚えられるのだろうか……?
先行き不安である)