麗過去編に戻る
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「努力も才能のうち」
【背景:図書室】


「今日は授業が早く終わって良かったねー」
俊介
「ああ、早速勉強の方を始めようか」

【se:バサッ】
麗、参考書を机に置く。


「あ、その前にちょっとトイレ行ってくるね」
俊介
「了解した」

「飲む?」
俊介
「何をだ!?」

「スグもどるねー!」
俊介
「ああ」

目の前にある、麗の参考書を見る俊介。

俊介
(ん?)
俊介
(あれ? 麗の高校受験参考書……。俺と同じ日に買ったはずなのにこんなにボロボロに……)

参考書を手に取る俊介。

俊介
(付箋がこんなに……赤と黄色で分けられている。
うお!? 中も綺麗にカラーペンで色分けしてあるな……)
俊介
(この本……1回や2回読み返した分けじゃないんだ。数十回と何回も何回も読み返したんだろう)
俊介
(麗……俺はお前に、また失礼な勘違いをしていたようだ。
ああ、そうだ。誰だって最初から天才な奴なんていないんだ)
俊介
(俺と別れ、帰った後も家でずっと勉強していたのだろう……。
普通の人なら諦める事を、麗は諦めなかった。
「今からじゃもう遅い」じゃあない、遅いってどこから見て遅いなんだ?
「私馬鹿だからやらない」じゃあない、バカならバカなりに天才になる努力をしたらどうなんだ?
そうだ。そういった考え方からして違ったんだ……)
俊介
(麗は努力を惜しんだり、負けを恐れたりしないのだろうな。
そういう心構えの違いが、あいつの強さの秘訣なのかもしれないな……)

「あ……」

「それ私の参考書……」
俊介
「コレか? ああ、そうだ」

「そうだじゃねーよ! もう……」

【se:ひょい!】


「私ずぼらだから、あんまり綺麗に使えなくて……」
俊介
「…………」
俊介
「はぁ……やっぱり麗、お前は凄い奴だよ」

「なにが?」
俊介
「なんでもない。俺なんかが麗に負けて当然だって事だよ」

「なにその弱気!?」

「ちゃんと勝ちにこいよー!!」
俊介
「ああ、分かってる。
今度こそ必ず勝ってやるさ」

他人の努力とは見えないものだ。


「そうこなくっちゃ!」

だからって「なんで自分は」と卑下にしてちゃダメだ。
相手も頑張っている。
だから自分も、それ以上に頑張らなければと
思う気持ちが大切なんだな。