宇沙子過去編に戻る
01
「ブサ狩り族の襲撃」
とある田舎町。

校舎裏。

宇沙子
「残念だけど、あなたとは付き合えないわ……」
ザァ……。

デブ
「な、なんでだぶー! 僕はこんなに宇沙子さんの事思ってるのになんでだブー!」

宇沙子
「ごめんなさい……それはあなたが……」
宇沙子
(ブサイクだからよ……!!)

東 宇沙子。中学1年生。

頭脳明晰。八方美人。
そのリーダー的存在は、誰から見ても憧れの的だった。

ブサ狩り族
「ヒャッハー! 汚物(ブサイク)は消毒だーー!!」
デブ
「ブヒーーー!?」

中学時代の治安は最悪だった。
「ブサメン狩り」という族が現れ、世にはびこるブサイク・ブスを
フルボッコにしていった。

教室。

ドドン!
ブサ狩り族
「顔面ブサイクは存在自体があーーーく(悪)!!!
全員存在する価値なぁーーーしぃ!!」

ブサ女
「きゃーーーーー!!」
ブサ男
「オロロロロロローー!!」

ブサ狩り族
「おい! そこのメガネ女ぁ!!?」
メガネ女
「ひぃい!!」

ブサ狩り族
「メガネを外せぇ!!」
メガネ女
「は、はいぃ!!」

ブサ狩り族
「う〜ん……」

ブサ狩り族
「てめぇは素材が良い!! だぁかぁらセーフ!!」

ブサ狩り族
「もっと美意識を持ちやがれやぁ!?」

メガネデブ女
「あっしも、メガネ外したら結構イケてるでごわs(ry」
ブサ狩り族
「てめぇはまず痩せろや!!」ドゲシ!!
メガネデブ女
「おふぅ!?」

ブサ狩り族は、ある程度見る目はあった。

ガリ勉風メガネ男
「やめてくださいあなたたち!!
学校の風紀を乱す事は許しませんよ!」

ブサ狩り族
「あぁん!? なんだ貴様は……?」

ブサ狩り族
「メガネを外せ!」

カチャ……。
ガリ勉風メガネ男
「これでよろしいですかな?」

ブサ狩り族
「貴様はダメだ、死ね!!」

ガリ勉風メガネ男
「ゴフッ!?」

ガリ勉風メガネ男
「いいい痛いじゃないですか!! なんなんですかあなたたちは!」

ガリ勉風メガネ男
「少なくとも私はクラスではトップクラスの成績です!
親だっていいところの幹部を勤めています!!
人を見た目だけで判断して……内面も見てはいかがですか!?」

ブサ狩り族
「ははははwwww このブサイク内面も見ろだってよwwww」
ブサ狩り族
「顔だけじゃなく台詞でも笑わせてきやがるwww」

ブサ狩り族
「調子のんな火星人が! 内面も見ろだ〜?
お前ら顔面崩壊共の内面なんて誰が知りたがるってんだよ? あぁ?」
ブサ狩り族
「しゃべるだけでも気持ちわりぃんだよwww コミが!!」

ブサ狩り族
「お前らブサイクは、いくら内面を鍛えたところで無理!! 無意味!!
誰にも認められないクズどもなんだよwww
とっとと死んで鳥の餌にでもなった方がまだ環境にいいぜぇー!!」
ブサ狩り族
「ひゅー! 鳥さん可哀想ーwww」

パタン。
本を閉じる宇沙子

宇沙子
「ちょっと……。静かにしてくれるかしら?」
ブサ狩り族
「ああ? 女?」

ブサ狩り族
「俺らの登場でも椅子に座りっぱなしとはいい度胸だねぇ!?
どんなブサイク顔が見せてもらおうか!?」

メガネを外すす宇沙子。

サラサラ……。
風になびく髪。

宇沙子
「これでいいかしら?」

ブサ狩り族
「ひ、ひえーーー!! 美しい!!」
ブサ狩り族
「あらやだわん! めっちゃ可愛いじゃないの!」

ブサ狩り族
「お、おいやめろお前ら! この方をどなたと心得る!?」

ブサ狩り族
「 学校でTOP3に入る、美少女『東 宇沙子』ちゃんとはこの方だぁ!!」

ブサ狩り族
「し、失礼しました!!!」
宇沙子
「いえ、いいのよ」

宇沙子
「一応学校の敷地内だし、あんまり部外者は巻き込まないようにね」
ブサ狩り族
「はっ!!」
ブサ狩り族
「なんと心の広いお方!!」

ゾンビ女
「そうですね。
ここは敷地ないですから、穏便に済ませていただくとたすかるわn……んごふ!?」ゴゲシ!!
ブサ狩り族
「黙れゾンビが!!!」


「ああ! 顔はヒドいけど、性格は優しいゾンビちゃんが!!」

「酷いわ! 内面もちゃんと見てあげて!!」
ブサ狩り族
「あ、お前らはセーフね」
宇沙子
「…………」

宇沙子
(この世界はつくづくヒドい世界ね……。
内面が如何に優れていても、見た目が悪いと相手にされない。
ただ親から引き継いだ遺伝子なのに、努力とは関係ないところで無下にされる……)

宇沙子
(会社の面接では、見た目がどよんでる大学卒業生より、
見た目が美しいモデルが採用される)

宇沙子
(イケメンは女の子に道を聞く事も普通に出来るけど、
ブサメンは街を歩いているだけで、通報される)

宇沙子
(美女がニコ生で乳を出せば、コミュニティが大量に増え、
不細工がニコ生で顔を出せば、「ぶっさw コミュ抜けるわw」と人は消え去る)

宇沙子
(そんな顔面社会だから、日本人は表に顔を出せない。
忍者の末裔だなんてカッコつけてるけど、
本当は顔面崩壊を隠すためにマスクしているに過ぎないじゃない)

宇沙子
(ネット間では、それが実に厳しい……。
ジャニーズレベル、アイドルレベルのイケメンと美人しか認められないこの世の中……。
つくづくヒドい世界よね……)

宇沙子
(しかし、お生憎様。私とは関係のないこと。
幸運にも、私はこの世界に「可愛い側」として生まれてきたみたいね。
それだけでも、親に感謝ってところね……)

トントン。
荷物をまとめる宇沙子。

女子生徒
「宇沙子さんどこへ?」
宇沙子
「ちょっと騒がしいから、図書室で本を読んでくるわ」

ガシャーン!
ブサ狩り族
「ヒャッハー……!」
宇沙子
(ブサ狩り族……。自分の子供にはそんな思いはさせたくないわね……)

たったったった……。