宇沙子過去編に戻る
02
「ブサイクとの出会い」
図書室……。
囲碁の本を読む宇沙子。

ペラッ……

宇沙子
(ココを分断して、ダメ詰まり……)

学ランブサ男
「はぁーい! こんにちは、宇沙子ちゃん☆」
宇沙子
「……チラッ」

学ランブサ男
「図書室で一人、勉強かーい? 宇沙子ちゃんは勉強熱心だね!」

宇沙子
(……また変なのがきたわね)

パタン。

ギーッ
本を閉じ立ち上がる。

学ランブサ男
「おっと? 帰るのかい? 俺と一緒にちょっとお話しなーい?」

宇沙子
「悪いわね。他を当たってくれる?」
学ランブサ男
「いいじゃんいいじゃーん?」

どんっ
イケメンが壁に手を付いて静止させるアレ。
誤用語でいう「壁ドン」

学ランブサ男
「俺、実は宇沙子ちゃんにちょっと興味があってね……」

宇沙子
(う……うざい……!)

帽子を取って髪をなで上げながら
学ランブサ男
「なんならこれから、俺とメシ行かない?」キラキラ

宇沙子
(半端なくうざい!!)

宇沙子
(その動作とその文句はイケメンだけが許されるものよ!?)
宇沙子
「や、やめなさい……警察呼ぶわよ……」

学ランブサ男
「おおっと、ごめんね宇沙子ちゃん)

学ランブサ男
「ちょっと気を悪くさせちゃったかな?」
宇沙子
「かなりね……」

学ランブサ男
「でも流石に、警察はヒドイなw ここは学校なんだし
せめて学校の先生を呼んで欲しいなw」

宇沙子
(なんなのよこいつ……気持ち悪いしなれなれしい……!)

宇沙子
(軽い小太り。
頭は時代を間違えた様な学生帽。
なんかツバがかけてるし……。
ほっぺにボツボツ。
口には謎の細長い草。
羽織る様に着る学ラン。
Tシャツから出る腹。
ボロボロのズボン。
足元は下駄!?
時代間違えたにしても大概にしなさいよ!?)

宇沙子
(あれね……少女漫画でよくあるメガネ取るとイケメンになるアレね!
……って、こいつはメガネも掛けてないし、帽子はさっき取った)

宇沙子
(イケメンに変身する様子は微塵もないわね……)
学ランブサ男
「あ、飯は嫌? だったらお茶でもいいよ?」

宇沙子
(それもイケメン以外通用しない、ちょっとランク下げるモテテク!!
ブサイクに何をやられてもオッケーする気が起きないわよ!!)

宇沙子
「か……帰ってちょうだい。これ以上関わるようなら本当に警察呼ぶから……」

スルッ
宇沙子の手から、囲碁の本が滑り落ちる。

パサっ。

宇沙子・ブサ男
「あっ!」

ちょん。
二人で拾おうとして触れ合う手。

ブサ男
「あっ」
宇沙子
「ひっ!?」

ブサ男
「はい、宇沙子ちゃん。本落としたよ」
宇沙子
「さ、触らないで!!」

パシッ!!
奪い取る。

宇沙子
「だ、大事な本なのよ……その、あんまり汚したくないから……」
宇沙子
(う……キモイ手で触られたくないなんて、流石に口には出さないけど)

ブサ男
「…………」

ブサ男
「はは……。ごめん。
なんか嫌われちゃったみたいだね……」
宇沙子
「…………」
宇沙子
(そうよ。嫌われたわよ! さっさとどっか行きなさい!)

ブサ男
「ただ……これだけは聞いて欲しくて……。
これだけは伝えたくて、声をかけたんだ」

ぶさ男
「宇沙子さん……」
宇沙子
「ん?」

ぺこり……。

ブサ男
「好きです……!
お付き合いまでとは言いません。
友達から……俺と友達になってください……!」

宇沙子
「…………!」

宇沙子
「……はぁあ!?」

宇沙子
「あ、あんた!? よくこの状況から、そんな言葉が出たものね!?
今までの流れわかってる!?」

宇沙子
「あんた……全く眼中になしよ!!」
ブサ男
「はい。わかってます。これは俺のわがままです。
宇沙子さんに気持ちを伝えたかっただけの、俺のわがままです。

ブサ男
「宇沙子さんは、俺の事嫌いかも知れません。
ですが、俺は……宇沙子さんとお友達になりたいんです!」

ブサ男
「あ、出来れば友達以上でも大丈夫です!
無理強いはしません……!」
宇沙子
「な……無いわァ……(ドン引き)」

ブサ男
「あ! そうだその本! 宇沙子さん囲碁が打てるんですね!
俺は将棋派なんです!
同じテーブルゲーム好きとして、少しお話でもしませんか?」

宇沙子
「将棋……?」
ブサ男
「はい!」

宇沙子
「……ダメね。
趣味からしてもうズレてるもの」
スタスタ
立ち去る宇沙子

宇沙子
「別に他人の趣味は否定しないわ。
あんたはあんたで将棋好きの誰かを誘うべきよ
私にもう関わらないで……」
ブサ男
「あっ!」
ブサ狩り族
「……ひゃっはー……」ブルルン!

ブサ男
「やっべ、ブサ狩り族だ! 逃げねぇと!!」
宇沙子
「ちょっと聞いてる?」

ブサ男
「宇沙子さん!」
宇沙子
「?」

ブサ男
「また会いに来ます! 今度少しお話しましょう!!
俺の内面を知ってもらってからでも、遅くないはずです!!」

ブサ狩り族
「いたぞーー!! ブサイクだーー!!」
ブーンブーン!!
ブサ男
「やべぇーっ!」

宇沙子
「…………」

宇沙子
「はぁあ……最悪……」ヘナヘナ

宇沙子
(今日はなんの厄日よ……私がなにかしたってわけ……?)

宇沙子
(変にモテるのも辛いわね……)