宇沙子過去編に戻る
04
「良くできたブサイク」
次の日。
教室。

ず〜ん……。
宇沙子
「うう……」

女子生徒
「宇沙子さん大丈夫? 風邪?」
宇沙子
「いえ、大丈夫よ。気にしないで……」

宇沙子
(昨日はもちろん、図書室なんて見にすら行かなかったわ。ええ行かなかった……)

宇沙子
(しかし、この約束をすっぽかす感……。
誰が相手でも申し訳なさを感じてしまうものね……)

宇沙子
(まぁいいわ……。これであいつも諦めるでしょ。
結果オーライ! 忘れましょう)

女子
「次2組と体育だってー」
女子
「田舎は生徒の人数が少ないから、合わせて体育やることが多いねー」
女子
「誰に対しての説明だよww」

体育

パスッ!!
見事なダンクシュート!
決めたのはブサ男。

男子
「スッゲー! ブサ男!!
中学でゴールに届くのお前くらいだぜ!!」
ブサ男
「ははw サンキュー!」
パン!
ハイ、ターッチ♪

宇沙子
(あいつ2組だったのね。
イケメンだと美しいのに、ブサイクがやると実に滑稽ね)

シュタタタタ、クルンッスタ!!
男子
「スッゲー! ブサ男!!
3回転バク転宙返りだ!!」

ザンッ!!
男子
「スッゲー! ブサ男!!
足めっちゃ早えぇ!!」

男子
「お前、その足でブサ狩り族から逃げ切ってるもんなw」
ブサ男
「相手はバイクだから、上手く隠れる必要もあるけどね」

宇沙子
(……あいつ運動神経はいいのね)

女子
「ブサ男君カッコイイねw」
女子
「なに? あんた付き合っちゃえばww」

女子
「え”?! ……そ、それはちょっと……」
宇沙子
「…………」

宇沙子
(まあ、哀れね……コレが現実。
あんたがいくらカッコイイ事をしても、女子は誰も付き合おうなんて思わないわ)

宇沙子
(それがブサイクの定め。運命なのよ……)
すくっ
立ち上がる。

家庭科

ジャーッ!
男子
「スッゲー! ブサ男!!
料理の手際めちゃくちゃ良い!!」

男子
「しかもうめぇwww なんだこれ超うめぇwww」
ブサ男
「料理は父から学びました」

男子
「ほら、女子も食って見ろよ! スゲェ美味しいぞww」
女子
「え……」

女子
「そ、それは遠慮しとく……」
女子
「だって、汗とか手垢とか入ってそうじゃなーい?」
女子
「きもーイ……。それは無理だわぁ……」
宇沙子
「…………」

宇沙子
(イケメンが作っても、それくらい入るかもしれないじゃない……。
同じ人間の物質よ? 顔がキモいってだけなのよ?)

宇沙子
(まぁ私も、手を付けたくないけど……)
トントントン
女子
「宇沙子さん切るの上手だねー」
宇沙子
「ありがと」

テストが返される。
男子
「スッゲー! ブサ男!!
100点じゃん!! めちゃめちゃ頭良いなwww」

ブサ男
「今回は運良く勉強した所が出ただけだよ。他はミスが多くて……」
男子
「それでも学年2位じゃん!」

女子
「あいつガリ勉野郎かよ。気持ちわりぃ」
女子
「運が良かっただけーなんて調子乗っちゃって……」
宇沙子
「…………」

宇沙子
(学年2位……ああ、私の下でいつも張り付いてるやつ、あいつだったのね)

女子
「あ! 宇沙子さん、また1位なんだ、スゴーイ!」
宇沙子
「え? ええ……」
女子
「やっぱり美人は、頭の出来も違うわー」

宇沙子
「いえ、今回も運が良かっただけだから……」
女子
「わぁ、その謙虚さ! 私が男子だったら放って置かないわーw」

宇沙子
「…………」

宇沙子
(……見た目の出来の違い。
ただそれだけの違いなのに、ココまで相手の印象を変えてしまうとはね)

宇沙子
(折角の良い能力ですら、マイナスにも見られてしまう。
別に可哀想とか、そういうのじゃないけど……)

宇沙子
(……なんかモヤモヤするわね)