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06
「日本国民全てがブサ狩り族と化している!」
学校。
数日後。

宇沙子
(あれからというもの。ぶさ男は私に対していろいろと助けてくれたわ)

宇沙子
(重いものを運ぶ時手伝ってくれたり、教科書を貸してくれたり、探し物を一緒に探してくれたり……)

宇沙子
(完全に内面は優しい性格のようね。
教科書も綺麗に使ってて、顔さえ思い出さなければ不快とも思わなかったわ……)

宇沙子
(……これは洗脳かしら?
どんなに頑張っても脈なしだって言ってるのに、申し訳なくなってくる自分が悔しいわ……)

ざわざわ……。
男子
「聞いたかよ。近所の兄ちゃん、亡くなったらしいぜ……」
男子
「それだけじゃねぇよ!
ブサイクがどんどんこの世から消えてってる」

男子
「本気? ブサ狩り族? なんでニュースでやんねぇの?」
男子
「お、俺普通ぐらいの顔立ちだよな? な?」
男子
「お前もそろそろヤバい」
宇沙子
(なんだか騒がしいわね……)

宇沙子
(とは言っても、ネットニュースで状況は大体把握しているわ。
日本全体で、大量のブサイクが狩られている。
それが、全くテレビでニュースにもならない……。
ザワつきもするわよ……)

宇沙子
(ましてやネットニュースでもイケメンを支持する記事

『関西のイケメン、ブサイク100人狩りに成功!!』
イケメンが笑顔で載ってる記事。

コメント欄。
ねらー
「は? ふざけんな。ブサイクにも人権があるだろ」
ねらー
「↑ブサメン乙wwwww」
宇沙子
(コメントも完全にイケメン派。
見た目も美しい以上、国民がそっちに味方するのも無理はないわ)

宇沙子
(そして、今や……)

宇沙子
(日本国民全てがブサ狩り族と化している!!)
ゴオオオオッ!!
日本。

ブサ男
「やあ、宇沙子ちゃん!」
宇沙子
「…………」

ブサ男
「今日あたりそろそろ時間作れないかい?」
宇沙子
「教室でもはなしかけないでと言ったはずよ」
宇沙子
(そんな中、生き残るこいつ……)

ブサ男
「じゃあさ。商店街のパフェでも食べに行かない?
全部俺がおごるからさ?」
宇沙子
「そういう問題じゃないわよ」

宇沙子
(う……ウザいわ。
早く誰かコイツを狩ってくれないかしら……)

男子
「お、ブサ男じゃん!」
ブサ男
「おっす!」
男子
「お前まだ生きてたんだな……」

男子
「バカヤロ! コイツは内面イケメンだから生かされてんだよ」
男子
「えー? 見た目だけじゃねぇのかよ!?」
男子
「宇沙子ちゃんコイツと知り合い?」

男子
「もしかして付き合ってたりなんかしてーw」
宇沙子
(うっ……最悪の展開!)

宇沙子
(全力で否定しないと!!)
宇沙子
「あんたらねぇ!!」ガタン!
ブサ男
「違うんだ!!」

宇沙子
「!?」
ブサ男
「違うんだ……」

ブサ男
「俺が勝手に宇沙子ちゃんにちょっかい出してるだけだから、
あんまり騒ぎ立てないであげて欲しい、かな」
宇沙子
(ブサ男?)

宇沙子
「そうよ! こっちはうんざりしてるのよ!
バカみたいな勘違いやめてくれる?」
男子
「え、ああ……」

ブサ男
「そうだね。ちょっと俺の配慮がなってなかったよ」

ブサ男
ごめんね、宇沙子ちゃん」
宇沙子
「…………」

宇沙子
(ダメ……こいつといるとどう転んでも悪いイメージが……)
ブサ男
「じゃあまた!」

ブサ男
「今日も放課後、図書室にいるから」
宇沙子
「はぁ?」

すたたたたー。

宇沙子
(放課後の図書室……?)