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「宇沙子●vs美人○」
宇沙子●vs美人○

東 宇沙子。
風魔法。
風で相手を吹き飛ばす。
風をかまいたちのようにし、物を切る。

美人。
紙の魔法。
紙を大量に貼り付け、相手の動きを封じる。
鋭い紙の端で、物を切る。
なにかを書く。
もちろん火に弱い。

序盤、通常通りの四隅を取る開始。

ブサ狩り族
(は……始まった……!)
ブサ狩り族
(日本の未来がこの対局にかかってるだなんて……
末恐ろしい!)

一隅でよくある定石が発生する。

一二三四五六七八
┏┯┯┯┯┯┯┯A
┠┼┼┼┼┼┼┼B
┠┼★┼┼┼┼┼C
┠○●○┼┼┼┼D
┠●○○┼┼┼┼E
┠┼●○○┼┼┼F
┠●┼●┼┼┼┼G
┠┼┼┼┼┼┼┼H

白番美人。

パチッ(二のD)

宇沙子
(ん? これは……定石崩し?)

宇沙子
(でもこれ……完全に間違えてる……!)
美人
「……」

宇沙子
(この人……ニワカだわ!!)
美人
「〜♪」

宇沙子
(いるいる! ネットでも間違えてこっちから打つやつがわんさかとw
この(三のD)黒石が取れると思ってるのかしら!)

マジで多くいよね。ワザとかな?

カサ!
黒石を取り。

宇沙子
(伸びれるのよね! コレが!!)

パチン!(三のC)

美人
「ん?」

美人
(アレ? 取れてるわよねこの黒石……?)
パチッ。

結果

一二三四五六七八
┏┯┯┯┯┯┯┯A
┠○●┼┼┼┼┼B
┠○●┼★┼┼┼C
┠○●○┼┼┼┼D
○●○○┼┼┼┼E
┠●●○○┼┼┼F
┠●┼●┼┼┼┼G
┠┼┼┼┼┼┼┼H

こうなる!

美人
「…………!」

宇沙子
(いけるわ! この対局、勝てる!)

囲碁要素終了。

想像空間で、宇沙子が押してるバトルシーン。
絵がないと伝わらないので、中盤まで割愛。

中盤結果!
宇沙子の30目強の大差!!

宇沙子
(もう押さなくても大丈夫ね。
このまま安全圏を打って行けば、勝てる対局)

美人
「ぬぐぐ……」

美人
(序盤のミスからボロボロ……。
負ける。このままでは負ける……!!)

美人
(いいえ、まだよ! まだなにか作があるはずよ……。
まだなにか作が!)

宇沙子
「…………どうしたのかしら?」
美人
「うっ……」

美人
(だ、ダメだ! 力の差があり過ぎたわ!
ここからの挽回は無理……!)

美人
(こうなることなら、最初から碁力について聞いてればよかった!
いえ、結果論ね。私だって最初は勝つ自信があったんだもの……)

美人
(ならばどうすれば……どうすれば……!?)

美人
「…………はっ!」

宇沙子
「あなたも結果に気づいてるなら、無理に続けなくてもいいのよ……?」
美人
「はは……」


美人
「そうねぇ…………」
美人
(あったわ……こいつに勝つ方法が……。
まさかこんな近くにあったとは……)

美人、ポケットを覗く。
中には囲碁のルールブック。

美人
(簡単な話だ。囲碁特有のルール『コミ出し』! この対局は互先!
そして私はラッキーなことに白持ち!)

美人
(チャンスは一瞬だろう……。
なぁに、一瞬の時間さえあれば、一文字くらい余裕で書ける!)

美人
(平らな部分はそこ。ペンは逆側のポッケ……。
表に出すしかない! でも行ける! 私なら出来る!!)

美人
「あ、全裸のイケメン!」
宇沙子
「え?」クルッ!

バッ!!
美人、ペンを出す!

スバババ!!
が、一瞬でバラバラになるルールブック!
美人
「うっ!?」

宇沙子
「ちょっと……全裸のイケメンなんていないじゃない。
いいえ、あなたがポケットをゴソゴソやってたのは気づいてたわよ」

宇沙子
「さて、何をしようとしたのかしら……?」

美人
「…………」

美人
「ふふふ……ははははは……!」

美人
「ふはははははは!! 
遅い! 遅い遅い遅い遅ーーい!!」

宇沙子
「?」

美人
「書けたわ『0(ゼロ)』が!! 書けたわよ『0(ゼロ)』が!!」

美人
「これであなたは負け決定!!」
バッ!
ちっちゃい紙切れを見せる!
宇沙子
「!?」

美人
「今から囲碁のルールは『白コミ出し60目半』!!」

美人
「一歩遅かったわねぇ! ちっちゃいのぉ!!」
宇沙子
「ろ、60目半!?」

美人
「そう! このルールが今、日本中で適応された!!
なんというラッキーw」

美人
「にぎりで私が黒だったら、これは出来なかった!
事前にかけなかったわ! これは幸運! なんというラッキー!!」

宇沙子
「いや、それが出来るなら事前に『美人が勝つ』とでも書いておきなさいよ……」
美人
「なに!?」

美人
「そ……そんな手が……!!」
宇沙子
(この人バカなのかしら……)

美人
「ふふふ……だからといって私が優勢になったのは変わりはない……」

美人
「さぁあと30目稼いでもらおうかしら……!」

美人
「60目半のコミ出しをね!!」

宇沙子
(うぐ……流石に厳しいわね……)