宇沙子過去編に戻る
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「世界が戻って」
学校。

宇沙子
(あの事件があってから今は数日後。
私は夢オチのように目が覚め、世界は元に戻っていた)

男子
「ほらほら〜w 取り返して見ろよ〜w」
ブサイク
「や、やめてください!」
宇沙子
(相変わらず、顔面サイコホラーがいじめられる様な教室。
この国の風習とやらは、根強く生きているものね)

宇沙子
(とは言っても、ブサ狩り族まで来なくなるとは……。
彼らも囲碁魔法の一部だったのかしら?)

宇沙子
(美人がどうなったかはわからない。
多分記憶も消えているだろうけど。
どこかで、普通に囲碁を打ってたりするのかしらね。
いえ、見た目がイイんだから、彼氏の1人や2人作って
遊んでたりするかもしれないわね)

ぶさ男
「こんにちは、うさちゃん!」
宇沙子
「ん?」

宇沙子
「あら、ぶさ男。今日も一段と絵にならないわね」
宇沙子
(人口も元に戻り、結果コイツも何事もなく生きてるわけ)
ぶさ男
「相変わらずひどいなぁw」

ブサ男
「でもそれがうさちゃんらしくていいけどねw」
宇沙子
「あら、どう言う意味かしら? 私はみんなには優しいわよ」

宇沙子
「……っていうか、なんで『うさちゃん』呼びになってるのよ……?////」
ぶさ男
「はははw」
宇沙子
(とはいえ、当初よりは全然普通に接するようになったわ。
いえ……元々の私がおかしかったのかもしれないわね)

数日後。

宇沙子
(それから、また数日後。
アイツから手紙が来る)

宇沙子
「『伝説の木の下で待ってます』ね……。
本当にあるのね。そんな場所……」

宇沙子
(まぁ伝説の木なんて日本各地118箇所にあるらしいわ。
こんな田舎にあってもおかしくはない……。
結局は山を削った草原に生える1本の大木だからね)

宇沙子
(呼ばれてする事はわかってるわ……。
ええ……)

宇沙子
(……とりあえず、今回は行ってみるわ////)

伝説の木の下。

ぶさ男
「あ! ……うさちゃん。来てくれたんだ」

宇沙子
「ええ……暇つぶしによ」

ぶさ男
「そっかw 来てくれただけでも嬉しいよ」

ぶさ男
「うさちゃん……いや、宇沙子さん」

ブサ男
「あれから、いろいろあって……俺はやっぱり弱気になっていたんだと思う」

ぶさ男
「見た目がこんなんだし、宇沙子さんにも嫌われたくないなって思って……
全然勇気を出せないでいたんだと思う」

ぶさ男
「だから俺は、友達でもいいやって思ってしまった。
……でもそれは甘えだ」
宇沙子
「…………」

ぶさ男
「俺は宇沙子さんの事をもっと知りたい。
映画を見に行ったり、遊園地に行ったり、宇沙子さんと楽しい事を沢山したいし
喜ばせてあげたい」

ぶさ男
「だから……だから、もしよかったら」

ぶさ男
「俺と、付き合ってもらえませんか?」

宇沙子
「…………!」

ザァ……

宇沙子
「…………」

宇沙子
(……ひどい絵面よね)

宇沙子
(相手がイケメンだったら……いえ、せめて普通ぐらいの見た目であれば、
見るに耐えないなんて事はなかったでしょう)

宇沙子
(例えば、コレが文章のみの作品であったなら、
彼はなんて純粋な男の子なんだろうって、思うのかしら……)
宇沙子
「あ…………」

宇沙子
(そんな、誰しもが断るこの状況……。
でも彼になら……)
宇沙子
「ええ……////」

宇沙子
(彼になら……!)

ぐっ……・!!

宇沙子
「ごめんなさーい!」ペコリーン♪
ぶさ男
「ええーーー!?」
宇沙子
(まぁ、無いわね♪)

宇沙子
「ごめんなさい!
あなたはとても優しい人だって知ってるけど、でもその……」

宇沙子
「まだ、私中学生だし! 勉強とか、一人でしたいこととか、沢山あるから!
その……!」
ぶさ男
「ははは……いいよw」

ブサ男
「いいんだよ。無理に理由なんて言わなくても。
俺はこうなることわかってたし、覚悟の上でだよ」

ぶさ男
「実は、明日引っ越す予定なんだ」
宇沙子
「え?」

ぶさ男
「親の都合でね……。
いや、OKが出るなんて事があれば、意地でも残ってやるって思ってたけど。
振ってくれて、決心がついた。
ああ、親に心配もかけられないからね」

ぶさ男
「多分、うさちゃんと会うのもこれでおしまいかな。
まぁもしどこかで合うようなことがあったら、軽く挨拶だけでもしてくれると嬉しいかな」
宇沙子
「ぶさ男……」

ぶさ男
「じゃ、俺はこの辺で!」

ぶさ男、くるりと向きを変え歩き出す。
宇沙子
「……あ」

ぶさ男
「うさちゃん、これからもずっとお元気で!」

たったったったった……。

宇沙子
「ぶさ男ーー!」

ぶさ男
「ん?」

宇沙子
「あなたみたいな優しいブサイクが、もっと沢山増えるといいわねー!」

手を降る宇沙子。

振り向くぶさ男。
彼は最後に、右腕を伸ばしの親指を立てこう言う。
d(`・ω・´)

ぶさ男
「ブサイクだって、元々優しい人間ですよーb」

宇沙子
「はは……、何カッコつけてんのよ……」

宇沙子
(いいえ、本当にみんな優しい人なのかもしれない)

老人に席を譲ブサイク。
宇沙子
(自分の勝手なイメージで、相手を気持ち悪がって)

おばあさんの重い荷物を持ってあげているブサイク。
宇沙子
(自分の勝手なイメージで、相手を嫌いになったりして)

子供と一緒に横断歩道を渡るブサイク。
宇沙子
(そんな、見た目だけで判断してしまうだなんて、可哀想じゃない)

なんか逮捕されているブサイク。
宇沙子
(もし相手が美人だったら? イケメンだったら?
そう考えて見たら、きっとその人にも優しく出来るんじゃないかしら)

宇沙子
(そうよ! ……だから、落ち込まないで欲しい)

ぶさ男に背を向け歩き出す宇沙子。

伝説の木を後ろに、風が宇沙子の髪をなびかせる。

宇沙子
(きっとココの住民は、みんな優しい人間なんだから!)

そして二人は、別々の道を歩き出すのだった。

エンディング

END