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02
「七六八と商店街の探索」
次の日。
廊下。

俊介
(麗……。
俺はあいつのこと尊敬しているし、良い師匠だと思っている。
しかし、この前の対局で、神野七六八という女の子に負けてしまった。
それが気に掛かって仕方がない)

俊介
(あの強さをモノに出来れば、結果的に麗より強くなれるという事だ。
神野……。少し話をしてみたい)

七六八
「あ、坂野巻さん」

七六八
「今帰りですか?」
俊介
「神野!
良かった! 丁度話がしたいと思ってたところだ」

七六八
「え? 私とですか?」
俊介
「ああ、囲碁の事でいろいr(ry」

俊介
(おっと……がっつき過ぎるな。まず仲良くなってからだ。
囲碁についてはそれからいろいろ聞き出せれば良い)

七六八
「?」
俊介
「俺はこれから囲碁部へ向かうところだ。神野も一緒にどうだ?」

七六八
「……すみません。今日は商店街に用があるので……」

俊介
「よし、一緒に行こう。なにか役に立てるかも知れない」
七六八
「え?」

俊介
「あ、もしかして邪魔か?」
七六八
「い、いえ……。別に構いませんが」

七六八
「坂野巻さんにしたら面白くないかも知れません」
俊介
「そんな事はない。是非お共させてくれ!」

七六八
「は、はい……!」

俊介
「そういえば、坂野巻って呼びにくいだろ? 俊介でいいよ。短いし」
七六八
「では、俊介さんですね。私も七六八で良いです」

俊介
「七六八だな。改めてよろしく」
七六八
「はい! 七六八はいろんなお店いっぱい知ってます!」
つくし
「?」

つくし
(あれは、七六八君と坂野巻君……)

商店街

俊介
「ああ、商店街か懐かしい。俺も昔よく遊びに来たものだ」
七六八
「もしかして詳しいんですか!」

俊介
「ああ、多少はな。
ただ、新しい店の切り替わりも激しいから、俺の情報は少し古いかもしれない」
七六八
「でも嬉しいです! 一緒に探検しましょう!」

俊介と七六八は商店街を走り回る。

本屋。

ゲームセンター。

薬屋。

公園。

会場。

俊介
「ここ10月にはよさこい祭があるぞ」
七六八
「見てみたいです!」

家具屋。

巨大な極道の家。

電気屋。

エロ本屋。
俊介
「まて!」グイッ

脇道。
俊介
(……随分回るんだな。運動不足か疲れてきたぞ)

七六八
「ここ通ると近道です」

俊介
(すごい小道だな……。俺ですら知らない道だ。
囲碁最強の応用力ってやつなのかこれは……)

学校。
囲碁部。

麗、キョロキョロ。

宇沙子
「どうしたの?」

「え? あ、俊ちゃん遅いなぁって思って……」

つくし
「坂野巻君なら、さっき下駄箱前で見かけたな。七六八君と一緒にいた様だ」

つくし
「あの調子だと、七六八君がいつも行ってる商店街に行った可能性はあるな」

「え?」
宇沙子
「!」

宇沙子
「ちょっとつくし先輩!」
つくし
「おっと? もしかして口を滑らせてしまったか?」
ガタッ(立ち上が麗)


「ちょっと見てくる!」
宇沙子
「待ちなさい!」

宇沙子
「商店街って、いってもかなり広いわよ! 人も多いし、見つけ出すのは無理!」

「…………」


「そ、それでも探すの!」

宇沙子
「わかった待ちなさい!」

ガチャリッ……。
宇沙子が携帯を取り出す。

プルルル……プルルル……。

宇沙子
「……出ないわね。
ああいうところは騒がしい場所だと気づけないのよねー」

バタン!

宇沙子
「あ……まったくもう」

たたたたた……


(……嫌な予感がする。ううん、これは気のせい。
私が俊ちゃんなら、偶然会って、友達になろうっていう流れが正しい)


(それで一緒に商店街を回ってみようっていう話になった。そう、それだけのこと!)
たたたたた……


(で、でも一応本人からそう言って欲しいだけ。そうそれだけ!)


(商店街の場所……高校生が行きそうな場所ならいくらか特定出来る!)

商店街
アイス屋前。

俊介
「ぜぇ……。つ、疲れるな……遅れて悪い」

七六八
「あ、すみません。気づけなくて……」
俊介
「いや、俺の方が済まない。足を止めさせてしまった」

俊介
「そこの抹茶アイスおごるよ……ちょっと休憩しよう」
七六八
「ま、抹茶アイス!」

まいどありー。

七六八
「すごい! 半分白で半分緑色です!」

はむはむ!(かぶりつく七六八)

俊介
(七六八……。
ココの商店街には5階の碁会所がある。だが、そこに行くわけでもない)

俊介
(本屋には行ったが囲碁の本を見に行ったわけでもない。
いったいいつ囲碁の勉強をしているのだろう?)

俊介
「七六八……。口の周りべったりだな」
七六八
「食べるの難しいです」

俊介
(それにまるで子供。好奇心旺盛な小学生といったところだ。
他人からみれば頭のいい子には見えないだろう)
俊介
「ほら、テッシュ」
七六八
「ありがとうございます」

俊介
「かじるんじゃなく、舐め取るようにしたらどうだ?
もっとも高校生にいうような台詞じゃないがな」

俊介
「ほら、ほっぺに残ってるぞ」
七六八
「んっ」

七六八
「子供扱いしないでください」
俊介
「してないよ」


俊介
「七六八より頭を上げるなんて滅相もない」
七六八
「?」

七六八
「ありがとうございます。ソフトクリーム初めて食べました」
俊介
「流石にそれはないだろうが、どういたしまして」

七六八
「では続きを回りましょう!」

俊介
「……まだあるのか?」
七六八
「今度は薄い本がいっぱい売ってあるところです!」


「……」