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06
「構ってちゃんと思うなら構ってあげましょう。それで命が救えるなら安いものです」
修羅場編その6

階段を駆け上がる。
タタタタタ!

宇沙子
「どう!? 麗は見失った!?」

「いえ大丈夫です! 案外麗さんは足は早くありません!!」

宇沙子
「だったら追いつけないの!? 慧の足なら捕まえられるでしょ!?」

「いえ……それが!!」


「この距離だと丁度パンツがチラチラ見えて眺めが最高(ry」ペシ!!
宇沙子
「ちゃんと追えぇーーーー!!!Σ( ̄□ ̄;)」

屋上。

ひゅーっ

宇沙子
「麗!」

「ヤバイです! 金網を登ってます!」

宇沙子
「麗!! やめなさい!! そんな事したら余計俊介を悲しませるだけよ!
あんた、あんだけ大好きだって言っておいて、その彼を悲しませる気!?」


「……もういいもん。だって私負けたもん。
囲碁が弱い私なんて……俊ちゃんはもう好きになってくれない」


「俊ちゃんだって!!
私なんかよりなるちゃんと一緒になった方が幸せになるに決まってるもん!!」

佐雪
「麗さん……」


「麗さん。この高さでは頭から落ないと、激痛で長時間耐えないといけないですよ!」

(びくっ!)


「頭から落ちても同じ、即死とは限りません! 十数秒は激痛と戦います。
そして落下中! 人間は本能で「生きたい!」と思うようになります」
宇沙子
「慧? ちょっと!?」


「それは計り知れない恐怖です! 空中では止められません!
その躊躇が激痛を長引かせることになります!!」

「…………」


「それよりも、今回は吹っ切れるなりして、
俊介さんと出来るだけイチャイチャした方が楽しいんじゃないですか?」


「…………」ガクブル

ツルッツルッ

ガシッ……。
手を滑らせながら登る麗。

佐雪
「だ、ダメです。手を止める気がないです」

さわさわっ

宇沙子
「あ、金網が「くの字」に曲がったところまで来たわ」


「…………」

すすすっ……
佐雪
「降りてきました!」
宇沙子
「おお!」


「登れるかよ!?」 ダンッ!


「なんで途中から網が120°ぐらいになってんだよ!!
っていうか、その上の釘見たいな刺さりそうな針金なに!?
越えれんわあんなもの!!」

宇沙子
「たしかにあれを超えるのは難易度が高いわよね」
佐雪
「あれのおかげで屋上が使えるわけですからね」

たったったった……

佐雪
「あ、麗さんが戻ってきました!」
宇沙子
「良かったわ!」

宇沙子
「もう、心配させるんじゃないわy(ry」バシッ!


「うるせーーーー!!!」


「死んでやるって言ったら死んでやるんじゃーーー!!」
だっ!!
佐雪
「麗さん!?」

宇沙子
「まったく……手間かかせるわね……!!」

タタタタタ!


「でも案外大丈夫そうですね」
宇沙子
「ええ」


「あと麗さんの欲求を満たしてあげれれば、止められそうです」


「それまで時間稼ぎをする、簡単なお仕事ですね☆」
宇沙子
「ええ、無給な上にブラックよ」

外の歩道橋。

佐雪
「あ、あんなところにいました!!」
宇沙子
「歩道橋の上!?」


「高さは減って怖さも減るようですが、タイミングの勝負ですよ!
ミスすれば激痛ですよー!」

「…………」

佐雪
「あ、降りてきました」


「じゃあここから飛び出せば高くもないしタイミングもズレねぇよ!!」

「それだと死ねる確率も危うくなってきます。第一轢いてしまった運転手が可哀相ですよ」


「うるせー!! もうついてくんなーー!!」
ダッ!!


「ついてきて欲しい様です」
宇沙子
「また走るの!?」

タタタタタタ!!

佐雪
「商店街の……キャンプグッツ売り場?」

宇沙子
「練炭買おうとしてるしー!!?」


「情報が古いです! 練炭は激しい頭痛吐き気を模様します!
体が動かなくなっても意識はしっかりしていて死の恐怖を最後の最後まで味わう事になります!」


「酸性洗剤と……塩素性洗剤……」

「死体が緑色になります!」


「もう! どうやったら楽に死ねるの!?」
宇沙子
「死ななくていいのよ!!」


「そうですねぇ……」


「今ネットで噂になっている格安で楽な死に方と言えば、イスとタオルを数枚結び合わせたもので、
タオルで首輪を作り、うつ伏せの状態からゆっくり体重を乗せ、失神するように逝く方法です。
動脈を止めるだけなので呼吸もある程度でき、楽に逝けるとされてますよ」
(画像モザイク・台詞伏せのピー音で)

「なるほど!」
宇沙子
「変な事教えんなーーー!!Σ( ̄□ ̄;)」

宇沙子
「もういいのよ、麗! あんたの気持ちは十分わかったから!
こんなの使っちゃダメ! お金の無駄よ!!」戻し戻し。

宇沙子
「これ以上やったらあんためんどくさい女だと思われるわよ!!」
佐雪
「う、宇沙子ちゃん……!」


「いいもん……。もうどう思われたっていいもん」

ダッ……!
宇沙子
「また!?」

たっ……

「あ、足を止めた」


「めんどくさいついでに……もうひとっ走り付き合ってよ……」