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●第4手「七六八側その2」○
●登場人物○

モブ「リーゼント」「女子高生1」
佐雪
(あの攻めをしのいで、右辺の黒地を消した! この人だだモノじゃない!)
佐雪
(明日美ちゃんとどっちが強いかな……? 今の私にはよくわからないけど)
佐雪
(でも、この人が入ってくれれば、きっと囲碁部の力になってくれるはず!)
リーゼント
「な、なんて強さだ……この強さ本当に鬼碁組のやつじゃねぇんだな?」

「大変申し訳ないですが、検討違いかと思います。私はただの玩具会社の子供ですよ」
リーゼント
「ちっ……負けは負けだ。ずらかるぜ……」
女子生徒1
「ちょ!? 本当にこれだけで許すわけ?」
リーゼント
「当たりめぇだ! 勝ったらマジで潰す気だったんだ!
なら負けたときゃあ、しっかり手ぇ引いてやんのが礼儀だろ!!」
女子生徒1
「わお! ということはこの手の引きは本気の表れなのね! 素敵! 本気の気持ち、私には伝わったわ!」
リーゼント
「とりあえず、このことはボスに報告だ!」
女子生徒1
「まってー!」

「あ、お気をつけてー!」

リーゼント去る。


「いやぁ、あのお二人が、良い教育を受けて育っていた様で救われました。
なぜ不良なのか不思議に思うくらいです」
七六八
「政治家が幼稚だから、それに対する社会の抵抗の表れじゃないでしょうか。良い内定が取れることを願ってます」
佐雪
「なにその分析!?」
佐雪
「あの、そこの白持ちだったひと!」

「ん? 僕の事ですか」
佐雪
「は、はい!」

「おっと失礼……。名乗るのが遅れましたね」

「僕は「大宮寺 慧」。クラスは1年4組のものです。以後、お見知りおきを」
七六八
「そして七六八は「神野七六八」です。クラスは1年3組です!」
佐雪
「七六八ちゃん、なんかそっちのチームみたいになってますよー」
佐雪
「私は「北葉月佐雪」です。クラスは2年2組です」
佐雪
「それで、慧さんにお願いなんですが……」

「はい、なんでしょう?」
佐雪
「あの……良かったら、囲碁部に入ってくれませんか?」

「囲碁部ですか……?」
佐雪
「はい。
慧さんの囲碁は凄いです。さっきの不良の人も全然相手にならない感じで……
あなたが入ればきっと囲碁部も成長すると思うんです。入ってくれませんか?」

「う〜ん、困りましたね。可愛い先輩のお願いときたら、聞いてあげない事もないのですが……
なにぶん、さっき見た通り僕は多忙なんです」
佐雪
「あっ!
な、七六八ちゃんも入ってくれるんですよ! とりあえず、見学だけでも来てくれませんか?」

「そうですね……。ではこうしましょう」

「お二人のどちらかが僕に勝てれば考えてもいいです。
誰も僕に勝てない様では、行く意味もなさないでしょうし……」
佐雪
「!」
佐雪
(か、勝てれば考えてくれる!)
佐雪
(でも、今の私に勝てるかな……? さっき見た限りだと、私ではまだこの人に勝てない……)
佐雪
(なら……七六八ちゃんに頼めば、もしかしたら勝ってくれるなんてことが……)
七六八
「対局ですか?」
【se:ザッ……】
前に出る、七六八。
佐雪
「っ!!」
佐雪
「ま、まって下さい!」
佐雪
(……だからって、そんなのが許されるわけがない。七六八ちゃんだって後輩、今入るって言ったばっかりだ)
佐雪
(だったら、ココで私が逃げちゃダメだ。逃げちゃダメなんだ!)
佐雪
「私が……対局します!」
佐雪
(ここは私が勝って……囲碁部の力をみせてやらなくちゃ……!!)

佐雪vs慧の対局が始まる。

……が、数分後。

【se:パチッ……パチッ……】

「もう、決まった様ですね。あなたがヨセきりたいというのであれば、それでもいい。
ただ、この差では上手くヨセても形勢はひっくりかえらないでしょう」

「守りばかりのゆっくりした碁でしたね。生きるだけの無駄な手が多い。
はっきり言って、さっきのリーゼントの人の方が強かったです……」
佐雪
「うっ……」
佐雪
(ぜ、全然だめだった……。打ってみて初めて分かるという相手の力……到底私じゃ手に負えなかったんだ)

「では、これで……」
佐雪
「ま、待ってください!! 今部員が3人しかいないんです! お願いします!」
佐雪
「私はその、部員の中では一番弱くて……。他に凄い強い先輩もいて……」
佐雪
「だから、全然勉強になるとおもうし……」
【se:ぽろぽろ……】

「わわっ! 泣かれても困りますよ、先輩」

「うーん……そうですねー。では交換条件といきましょう」

「あなたが被験者になってくれるというのであれば、入部します」
佐雪
「え?」

「勿論……「試用中の拝見込」で、です」
佐雪
「っ!」

「これであれば、私も手間が省けますしね。まぁ試してくれる人は多いに越したことはないですが……」
佐雪
(拝見込……そんな誰かに見られながらオ○ニーするだなんて……)
佐雪
(でも、元々は私の責任……私が勝ってれば、コレは無かった事実。そう考えれば……)
佐雪
「だ、誰にも言ったり、公開したりしませんか?」

「……勿論、あなたがそれを望むなら」
佐雪
「わ……わかりまs(ry」
七六八
「まって下さい」

「ん?」

【se:ザァ……】

七六八
「私が勝ったら、あなたは無条件で囲碁部に入部してください」

「ほう。では、私が勝ったら……二人とも被験者ということでよろしいのですね」
七六八
「構いません」
佐雪
「ちょっ!? 七六八ちゃん!」
佐雪
「ダメです! コレは私の責任です! 七六八ちゃんまでその責任を追う必要はありません」
佐雪
「さっき七六八ちゃんも見たでしょう? 慧さんは凄い強いです! 七六八ちゃんでも敵うわけが(ry」
七六八
「あの、うるさいです」
佐雪
「ええー!?」

「では、早々に行ましょうか……私もこんなところで、時間を使っては居られませんからね」
佐雪
「そんなこと言って! あなたはココで囲碁の対局3局目ですよ!?」

「対局は別腹。勉強になる有意義な時間なんですよ」

「それでは行きますよ!」

【se:ジャラ!】


「僕が先番……! よろしくおねがいします!」
七六八
「すぅ……」
七六八
「……よろしく、おねがいします」

七六八vs慧が始まる。

【空想世界】


「手早く終わらせます! 最初から本気で行きますよー!」

「ふんっ!」
【se:ブゥン!】
【se:チュゴウチュゴウ!!】
慧が雷玉を打つ。
七六八の周りに黒い円形状のガード壁が表れ、全く効いてない。

「ふぅ! 重い石ですねー! ならこれならどうですか!!」
慧のグミ弾。
それら全てガード壁から通らない。
足を進める七六八。

「ぐっ……硬い! でもこれだけ力を溜めれば……通らない事はない……!!」
慧、巨大な雷玉で応戦!
見事七六八にぶつかる! あたりは煙のモヤ!

「ふっ……これならば、もう勝ったも同然……!」

キリが晴れるが……。

七六八、無傷。


「えっ……?」
瞬時に慧との距離をゼロ距離まで縮める七六八。

「っ!?」
七六八、慧の腹に手を添え……
次の瞬間、慧を吹き飛ばす!

…………。

なんやかやあって七六八……圧勝!

【現実に戻る】


「ま……負けました……」
佐雪
(つ……強い! この子こんなに強かったなんて……!)

「い、いやぁ驚きでした。この僕でも、こんな圧倒的に勝てない相手が、この学校にいるだなんて……」

「仕方ないですね。入部します。このレベルなら、僕にもまだまだ学ぶ事が多そうだ」

「まぁ他にも被験者として良さそうな生徒が、囲碁部にいるかもしれませんしねw」
佐雪
(!?)
佐雪
「あなたはもう要りません!!」

「えええ!!?Σ(゚Д゚|||)」

佐雪
(こうして、慧さんは今日はコレから用事があるからと、帰ってしまいました。
明日見学にくるそうですが……なんだか呼ばない方が良かったのかも)

七六八
「では、私も今日は失礼します」
佐雪
「あ! 待ってください!」
佐雪
「あの……どうして助けてくれたんですか?
あなたはまだ入部すると言ってくれただけで、私とは初対面ですし……」
七六八
「…………」
七六八
「佐雪先輩が、嫌そうにしていたから……。それだけで、特に深い意味もありません」
七六八
「ただ私はちょっと、あの慧さんの言うオモチャとやらで遊んで見たかったです!
きっと空飛んだりするのとかもあったはず……!(キラキラ」
佐雪
「って空は飛んだりしませんよー!!
あっちの意識は飛んだりするかも知れませんが!!」

佐雪
(ふぅ……。 あ、危なかった! まだ勘違いしていたなんて……。
ちゃんとどういうオモチャか教えたほうがいいかな……?)
佐雪
(そんなこんなで、七六八ちゃんとも別れた。
明日、ちゃんとみんな揃ったときには挨拶に来るそうです。
私は明日美ちゃんを迎えに、囲碁部へと向かうのでした)

ちゃんちゃん。

【背景:自転車置き場】

七六八
(今日はなんだか遅くなってしまいました。
商店街を回るのは今度にして、今日はもう帰宅します)
【se:ザァ……!】
七六八
(風……)
七六八
「!」

「!」
目と目が合う、麗と七六八。

END